マイクロソフトは現在「.NET」(ドットネット)という壮大な構想を進めている。ネット上で何かビジネスをする際に「.NET」が役に立つとTV-CMなどでアピールしているあれだ。これも『Windows CEfor Automotive』と組み合わせ、将来的にはトヨタ『G-BOOK』などで活用させるという計画なのか。
「活用“させる”という意味ではノーですね。皆さんが誤解されているようなのですが、.NETはマイクロソフト自身が何らかのサービスを提供するというものではないのです。その環境を構築するためのツール(Visual Studio.NET)を提供し、PCや携帯電話、PDAに車載端末など、様々なところで同様に使えるコンテンツを作ってもらおう、というものです」と平野部長は言う。
G-BOOKで採用されたWindows CE for Automotiveでは、プラットホームとミドルモジュールの部分(土台となる下半分)はマイクロソフトが手掛けているが、アプリケーションが載る上半分はトヨタが作っている。マイクロソフトが言う「.NET」とは、この上半分に載るアプリケーションなどの開発を円滑に進めやすくするもので、そういった意味では将来的に「.NET」構想の一翼を担うものが載る可能性はある。しかし、それを最終的に使うか否かの判断はトヨタに一任されているという。
「マイクロソフトというと、どこか横暴なイメージがあり、殴りこんで業界に何か押しつけるんじゃないかと思われがちですが(笑)、お客様に無理は決して言いません。.NETのフレームワークを載せろとか、Windowsのロゴを出せというような無茶も言いませんし、実際に言っていません」と清水氏。
実際「.NET」の構想自体は壮大であり、これがどう動くかというのはまだ未知数の部分が多いという。将来的に『Gazoo』(ガズー)の開発環境が「.NET」になるかもしれないという可能性もあるわけで、そのカギは「.NET」がトヨタが採用したくなるような開発環境やサービス、コンテンツが豊富にそろうことだろう。