逃げた少年が悪いのか、それとも追跡した警察官が悪いのか

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パトカーからの追跡から逃れようとした際、トラックの側面に衝突するという事故を起こして死亡した17歳少年の両親が「事故の原因は執拗に追跡した覆面パトカーにあった」として、警視庁(東京都)を相手に5800万円の賠償請求を求める民事訴訟の第1回口頭弁論が16日、東京地裁で開かれた。

問題の事故は1999年10月14日に起きた。東京都江戸川区内の都道を走行していた当時17歳の少年が運転する原付バイクが、二段階右折が定められた交差点をそのまま右折。その様子を警視庁第3交通機動隊の捜査員が発見した。捜査員は覆面パトカーで原付バイクの追跡を開始。バイクは追跡から逃れようと別の交差点へ強引に進入した際、トラックの側面に衝突、転倒した。少年は病院に運ばれたが、頭などを強く打ったことが原因で死亡している。

警察は追跡の事実を認めたものの、少年が事故を起こしたことについては「目撃していない」としてきた。ところが事故現場付近では直後に覆面パトカーを見たという人がおり、これが事実だとすれば「目撃していない」という捜査員の証言は虚偽ということになる。

少年の両親はこの証言を元に、追跡した警察官を保護責任者遺棄致死などの疑いで告訴したが、東京地検はこれを不起訴とした。このため、今度は民事訴訟という形で真実を求めて争うことになった。

裁判の争点は「軽微な違反にも関わらず、パトカーがサイレンなどを鳴らさない状態で執拗に追跡を行ったこと」と、「事故現場に到達しながらも、救急車を手配するなど必要な救護措置を怠ったまま現場から走り去ったこと」の2点が柱で、口頭弁論で両親は「警察は真実を話してほしい」と訴えている。

パトカーに追跡された車両が起こした事故の責任を巡り、警察側の不手際を追及する裁判はこのところ増加傾向にあるが、現状は「追跡する側」よりも「逃げようとした側」の責任が重く評価されており、この裁判も今後の進行が注目される。

《石田真一》

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