本来は警察や道路管理者の許可を取って輸送する必要がある鋼板を運送会社の運行管理者が無許可で輸送することを部下のトラック運転手に命じていた問題で、大阪府警は8日、運行管理者の上司である事業所の所長ら2人を道路交通法違反(過積載下命)容疑で逮捕したことを明らかにした。運行管理者への取り調べを進めた結果、会社ぐるみの犯行であることが発覚したためとしている。
大阪府警・交通捜査課、同・此花署の調べによると、過積載事件が発覚したのは5月19日の未明に発生した一件の事故だという。同日の午前4時35分ごろ、大阪市此花区伝法4丁目付近の国道43号線で、走行中のトラックが運転を誤って道路左側の防音壁に接触。
この際、搭載していた鋼板3枚が約12m渡って防音壁の一部を切り裂くようにして破壊し、壁の一部は10m下の市道に落下するなどの被害を出した。事故を起こしたトラックは車幅(2.5m)を大幅に超える縦横共に3.9mの鋼板を搭載しており、必要とされる警察や道路管理者への通行許可も取っていないことがわかった。
警察ではトラックを運転していた37歳の男を道交法違反(過積載)容疑で逮捕したが、輸送を命じたのはこの運転手が勤務する会社であることから、会社内部の捜査も実施していた。その結果、この運送会社に勤務し、75台のトラックの配車を担当する29歳の運行管理者の男が逮捕されたトラック運転手に対して鋼板の輸送を命じていたことが判明。さらには「認可を取ることが面倒で、何度も無許可運送をしていた」とこの男が認めていた。
その後の調べで男は「上司の命令であり、現場の判断ではなかった」と供述。さらには「会社の上司から時間が掛かるような面倒なことはしなくても良い。早朝に輸送すれば問題はないだろうと言われた」とも証言した。警察ではこの証言を重要視し、重量物の無許可輸送が恒常的に会社命令で行われていたと断定。事業所の所長ら2人も道交法違反容疑で8日までに逮捕した。
警察では今回逮捕した所長を追及し、無許可輸送がいつごろから行われてきたかなどの実態を調べていく方針。