大阪府警は25日、門真市内で発生した原付バイクによる事故の容疑者として逮捕した14歳の少年が、別の少年の身代わりとして出頭していたことが判明し、結果として誤認逮捕していた捜査ミスが生じていたことを明らかにした。警察では身代わりを頼んでいた別の14歳少年を業務上過失傷害と道路交通法違反(ひき逃げ)容疑で逮捕。身代わりとなった少年はひき逃げ容疑での釈放は決まったが、犯人隠避容疑で再逮捕されている。
大阪府警・門真署の調べによると、問題の事件は7月10日に発生している。同日の午前8時10分ごろ、門真市脇田町の市道で少年2人の乗った原付バイクが前方を歩いていた12歳の少年に追突。少年をその場で転倒させ、顔などに全治1週間の軽傷を負わせた疑いが持たれている。原付バイクはその場から逃走したため、警察ではひき逃げ事件と断定として捜査していたが、同日の昼になって少年が教師に伴われて出頭。警察の調べに対して「自分は当時後ろに乗っていて、運転は友人がやっていた」と供述した。
運転していたとされる少年は別の事件を起こして、児童自立支援施設に入っていたが、ひき逃げ当時はこの施設から脱走していた。警察に友人の居場所を尋ねられた少年は「友人に警察へ行くように呼びかけます」としており、当日は帰宅。翌日になって「少年から話を聞いた。運転していたのは自分だし、悪いことをやったのは認めます」と別の少年が出頭。施設からの脱走責任も問われる形となり、業務上過失傷害と道交法違反(ひき逃げ)容疑で逮捕された。
ところがこの際、地元では「逮捕された少年は“自分が身代わりになる”と引き受けたらしい」という噂が飛び交い、被害者の母親が警察に再度届け出た。これを受ける形で警察も再捜査を開始。その結果、被害にあった少年は「よく覚えていないが、逮捕された人は後ろに乗っていたと思う」と証言。逮捕した少年も「実は身代わりでした。施設を脱走して少年院行きは確実だから、その罪は俺が持っていくと決めた」と身代わりの動機を供述したため、警察ではこの少年をひき逃げ容疑では釈放して犯人隠避容疑で再逮捕するとともに、別の少年を真犯人として逮捕している。
警察では「2人乗りバイクが衝突したという事故で、容疑者の確定が難しいという一面はあるが、結果的に誤認逮捕していたことは痛恨の極みだ。ある意味では2人とも容疑者であり、事故当時の供述に矛盾する点は何一つなく、それゆえに錯誤が生じやすい状況にあったことは間違いない。今後はより適正な捜査をするよう指導を徹底したい。」とコメントしている。