警察庁は20日、全国の警察本部が摘発した暴走族のメンバーを対象に行った意識調査の結果を明らかにした。「暴力団が暴走族の後ろ盾になっている」と回答したメンバーは全体の42%となり、5年前の同様調査の19%の倍以上となっていたことがわかった。
これは警察庁・交通指導課が行っているもの。全国の警察本部が検挙するなどして『集団暴走を行ったと確認された者」を対象に、ほぼ5年おきに実施している。今回の調査では2471人に対し、逮捕や補導した際に調査票へ記入させるという方法で回答を求めた。
2471人中、現役のメンバーは895人(全体の36.2%)で、以前の加入経験がある者が677人(27.4%)、組織には属さない・無回答が899人(36.4%)となっている。
このうち、全体の37.8%が「集団暴走時には金属バットなどの凶器を所持する」と回答している。5年前の47.9%と比べた場合には減少しているが、傷害などの刑法犯罪で検挙されている数は増加傾向にあり、全体としての数は減ったが凶暴性は増したということになりそうだ。
また、集団暴走に加わった経緯としては「出身中学校の先輩などからの勧誘」が55.9%と相変わらず高いことがわかった。また、暴走族グループに以前加入していた(今は加入してない)と回答した677人のうち、32.6%は「自分の所属していたグループが解散したから」と回答していたこともわかった。
この結果から「出身中学校の先輩後輩による勧誘を絶ち、さらには暴走族コミュニティの壊滅を図れば集団暴走が減少する可能性が高い」という分析もできる。
今回の調査で警察側が「最も深刻な事態」と受け止めているのは、暴走族グループの現役メンバーと以前のメンバーを合わせた1572人のうち、41.7%が「暴走族の後ろ盾は暴力団」と回答していたことだ。これは5年前調査の倍となっている。
また、何らかの形で暴力団側から上納金を求められたと回答したのは29.9%で、こちらも前回の12.1%から増加。約2.5倍の数値となった。
他の暴走族グループとの紛争を調停する“面倒見”と呼ばれる暴走族OBが暴力団の構成員となっているケースが数多く見られ、暴走族を卒業したら暴力団に…という構図も西日本を中心に多く見られるようだ。