「TRDターボチューニングプラン」によってターボユニットを後付けした『ヴィッツRS TRDターボ』は、ちょっと懐かしいホットハッチのテイストが感じられるクルマだ。
ターボユニットの装着により150PS/20.0kgm(ベンチテストによる数値でネット値ではない)にパワーアップされたエンジンは、ノーマルの圧縮比等を変更せずにタービンや補器類を後付けした、いわゆるボルトオンターボ。
それでいながら発進時にはナーバスな印象はなく、普通にクラッチをつなげばスルスルっと前に出てくれる。だが、ひとたびアクセルを踏む込めば4000rpm以上で強烈なトルクを発生し、簡単にホイールスピンを起こしてしまう。そのトルク感はすさまじく、2速にシフトアップしてもホイールスピンが収まらないほど。
0.65kg/平方センチメートルと後付けターボとしては高いブースト圧に設定されているが、ボールベアリング・タービンはレスポンスに優れており、ターボラグを感じることはほとんどない。ただし大パワーFF車に特有の、加速時にハンドルを取られるトルクステアは大きい。
同プランよって『イスト』や『bB』にもターボを後付けすることができるが、MT車に組み合わせることができるのはヴィッツのみ。ちなみにヴィッツRS TRDターボに搭載されているターボユニットは2003年にモデリスタから発売された、「ヴィッツRSターボ」と同じタイプだ。
タービンが回る音や、アクセルを戻した時に出るブローオフバルブの音など、ターボ車ならではの雰囲気も存分に味わえる。このフィーリングは、80年代から90年代前半に販売されていた『スターレット』ターボに通じるものがあり、最近のクルマでは味わうことのできない独得の楽しさがあるクルマだ。