救急車を“独占”…身勝手な男に有罪判決

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冬の寒さに耐えきれないことを理由に、急病でもないにも関わらず約2カ月の間に25回も救急車を呼びつけたとして、偽計業務妨害罪に問われた53歳の男に対する判決公判が10日、岡山地裁で開かれた。

裁判所は「短絡的同機によるものだが、反省は認められる」として、執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。

問題の事件は昨年12月8日から今年1月23日にかけての間に発生している。岡山県建部町内に住む53歳の男が冬の寒さに耐えきれず、急病でもないにも関わらず「胸がえらい(動悸がする)」と称して119番通報。救急車を自宅に呼びつけ、町内にある救急病院に搬送させた。

一度成功したことで、男はその後の2カ月間、2日に1回のペースで24回(合計25回)の通報を行った。同町には1台しか救急車が配置されておらず、救急隊員は「虚偽通報かもしれない」と思いながらも出動していた。

しかし、このうちの2回については実際の急病人が別に発生していたが、男に対応していたために救急車を使った患者の搬送を行うことができず、うち1回は生死に関わる事態だったこともあって1人が後に死亡している。

こうしたこともあり、消防では「救急業務を妨害された」として男を刑事告発。今年2月に偽計業務妨害容疑で逮捕されていた。男は警察の調べに対しては「屋根が壊れていて、寒さに耐えられなかった。タクシー代や家の修理費も無く、寒さをしのぐ目的で病院に行きたくて救急車を呼んだ」などと供述。容疑を大筋で認めていた。

10日に開かれた判決公判で、岡山地裁の橋本耕太郎裁判官は「被告が救急車を何度も呼びつけたのは、壊れた屋根を修理するだけの金銭を持ち合わせておらず、寒さをしのぐためだった」と認定した。

その上で「動機は短絡的で、あまりにも身勝手。因果関係の証明はなされていないが、虚偽の通報に救急車が対応していることで、病院への搬送に救急車を使えなかった住民1人が後に死亡しており、そうした事情を考慮するなら“近隣住民全体を命の危険に晒した”といえる」と指摘。

しかし、その後に男が反省する態度を見せていることから「この部分に情状を酌量する余地はある」と判断。被告に対して懲役2年(執行猶予3年)の有罪判決を言い渡した。

《石田真一》

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