【D視点】オペル アストラ …デザインの挑戦、マーケティングの不気味

自動車 ニューモデル 新型車
【D視点】オペル アストラ …デザインの挑戦、マーケティングの不気味
【D視点】オペル アストラ …デザインの挑戦、マーケティングの不気味 全 17 枚 拡大写真
★ポスト空力デザイン

三代目の新型オペル『アストラ』が9月29日に日本で発表された。このクラスとしては不釣合いにさえ見える大きなフロントエンドと、ボディの随所にある凹凸が目を引く。これらは空気抵抗係数を気にする最近のクルマにしては珍しいことで、新型アストラはポスト空力のデザインに挑戦したようだ。

鋭い目つきのヘッドランプを起点としたウエッジシェイプのフォルムは、流行の「走り」を表現しているものの、角張ったボディと大きなフロントビューは、同クラスのクルマとくらべて車体を大きく見せる。競合車はフォルクスワーゲン『ゴルフ』、プジョー『307』など。

ポスト空力のデザインは、偶然か昔の彫刻的デザインに似て充実感があり、随所に配置された光物も手伝って見掛けが立派なのはクラス随一。新型アストラの売りが、この“立派さ”にあるとすれば、狙い通りの出来栄えとなっている。

しっかりした運転感覚と低音のエキゾストノートから、スタイルと同じようにスポーツ志向であることを感じさせる。が、ベーシックグレードの「1.8CD」は、プレミアムなクルマにしてはチープな4速ATのために、街乗りならともかく箱根のようなアップダウンの激しい道では苦しい走りとなってしまう。

6速MTの2.0ターボスポーツを用意したのは走り屋には嬉しいが、本国の主力車種である5速MTの「1.8i」を用意すれば、ヨーロッパ生まれのアストラの良さを発揮できるのではと、少々残念だ。

新型アストラのデザインはプレミアムな競合他車に遜色ないが、ハード面の脆弱を補うほどにはなっていない。今後、技術面の充実により、他のプレミアムなクルマと一味違うデザインでユーザーを喜ばして欲しい。

D視点:デザインの視点
筆者:松井孝晏(まつい・たかやす)。東京造形大学教授。元日産のデザイナーで、『Be-1』をプロデュースした。

★ポスト空力デザイン
★オペルに福を呼び込む獅子頭
★ゴリ押しか? GMオペルの奇妙なブランド戦略
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 続きを読む

《松井孝晏》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「TWIN TURBOのロゴ懐かしい!」Z32ファン感涙、レトロ感あふれる新型『フェアレディZ』が話題に
  2. 「みんなガソリン車が欲しいんだよ…」フィアットの新コンパクト『グランデパンダ』、6速MT登場に日本のファンも反応
  3. メルセデスベンツ『GLC』新型、インテリア先行公開…史上最大39.1インチディスプレイ採用
  4. 【スズキ GSX250R 試乗】ハンドリングは「小さなハヤブサ」!? 250ccらしからぬ独自の存在感…伊丹孝裕
  5. 「めっちゃカッコよくない?」無限仕様の新型『プレリュード』が話題に、SNSではホイールにも「たまらない」の声
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る