フィアットの相次ぐ人員削減計画に対して、工場労働者たちによる、あの手この手の抗議行動が頻発している。3日、約千人のミラフィオーリ工場労働者が名門サッカーチーム・ユベントスの練習場までデモ行進を敢行した。
アポなしにもかかわらず、チームマネジャーのA.セッコや人気選手G.ザンブロッタとの面会に成功。彼らから「労働者と常に共にいる」旨の声明を獲得した。
ちなみにユベントスは、フィアット創業家が現在もチーム経営のイニシアチブを握るチームである。
また7日夜、リニューアル披露公演が行なわれたミラノのオペラ劇場スカラ座の前にも、アルファロメオ・アレーゼ工場の従業員が押しかけた。その模様は、盛装して訪れるベルルスコーニ首相夫妻らVIPとの格好のコントラストとして、テレビ各局のニュースで放映された。
思い起こせば、一昨年暮れには「悪ガキには、プレゼントのかわりに魔女が炭を持ってくる」という伝説にちなみ、労働者たちがG. アニェッリ名誉会長(当時。故人)宅に、炭の束を届けに行ったこともあった。
一見奇抜な労働者のパフォーマンスの陰には、そうした激動期のフィアットに巻き込まれた苦悩が隠されている。
トリノにサンタクロースは、今年もやって来そうにない。