無免許の少年にクルマを貸した責任

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17歳(当時)の少年がクルマを無免許・飲酒の状態で運転し、電柱に激突し5人が死傷した。死亡した女性の両親が、この少年にクルマを貸した男性に対して損害賠償を求めた裁判で、宇都宮地裁は18日、この男性に対し約2600万円の支払いを命じている。

問題の事故は2003年2月10日の未明に発生している。同日の午前0時30分ごろ、栃木県石橋町細谷の国道352号線で、17歳(当時)の少年が運転する乗用車が電柱に激突して大破。同乗していた3人が死亡、2人が重軽傷を負っている。

少年は無免許であり、しかも事故直前まで飲酒をしていたことが後に判明。そうした状態を知りつつ、少年にクルマを貸したとして、職場の同僚であり、事故車を所有していた21歳(当時)の男性は道路交通法違反(無免許幇助・同教唆)で有罪判決を受けている。

この結果を受け、このクルマに同乗したために死亡した当時17歳の女性の両親が、クルマを所有していた男性に対して「無免許、酒気帯び状態であることを承知で少年にクルマを貸した結果、事故につながった」として、総額約4300万円の損害賠償支払いを求め、所有者の男性を訴えていた。

これまでの訴訟で、男性側は事故を起こした少年にクルマを貸したことは容認したものの、「死亡した女性も少年が免許を持っていないこと、飲酒状態だったことは容認しており、クルマを降りる機会もあったのに降りようとはしなかった」として、死亡した女性側に過失があることを主張。争う姿勢を見せていた。

18日に行われた判決で、宇都宮地裁の今井攻裁判官は被告側男性の主張していた女性の過失を一部容認したものの、「事故は少年の無謀運転が原因であり、事故発生原因には死亡した女性は寄与していない。したがって女性の過失を大きく認めることはできない」と判断。

「クルマを所有していた男性には事故で発生した損害の賠償を行う必要がある」と認め、男性に対して約2600万円の部分について支払いを命じた。

《石田真一》

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