「BMW『3シリーズ』より、滑らか。VW『パサート』より、スポーティです。我々に大きなアドバンテージがあると思っています」。プジョー本社・技術広報、クリストフ・シャトー氏は自信満々だ。話題は、V6・3リッターユニット搭載車に標準装備されている、電子制御可変ショックアブソーバー。路面の状況、走行条件により9通りのショック吸収パターンに変化する。4輪のセンサーから随時収集される情報を専用ECUで解析する。また、ATシフター手前にあるボタン操作により、乗り味全体を硬めにセットする“スポーツモード”機能もあわせ持つ。
では、実際に407(セダン)3.0スポーツをワインディングで走らせてみる。先に乗った407SW 2.2スポーツと比べると、まずはパワステのタッチが明らかに違う。こちらは走行速度、エンジン回転数、ステアリング角度/操作速度をパラメーターとして可変する油圧式だ。通常走行ではややソフト目、に感じる。個人的な好みとしては、2.2リッターモデルの電動パワステのほうが「一定の切り味」があって乗りやすいと感じた。が、V6搭載による重量バランスでは、より高速走行、雨の走行などで可変のありがたみがわかるのであろう。
さて、電子制御可変ショックアブソーバーだが、可変は適宜行なわれるので、ドライバー自身がそれをあえて意識するシチュエーションには出くわさない。また、“スポーツ”モードにして少々無理な運転をすると、ESP(スタビリティコントロール)が意外と早めに介入する。2.2リッター搭載車のほうが総重量の差で100kg軽いぶん、ESP介入まで相当我慢してくれる。
テスト走行後、再びシャトーさんに登場してもらい、各種詳細について聞いた。「可変サス及びESPのセッティングは、日本仕様も欧州仕様も基本的には同じです。電子制御可変ショックアブソーバーは、バルブ・プレッシャー・レギュレーターはカヤバ製です」という。電子の猫足を、日本の技術が支えている格好だ。