ダイハツ『エッセ』(19日発表)という車名は英語の「ESSENCE(エッセンス・本質)」に由来した造語。この“本質”がそのままエッセのコンセプトとなっている。
今日、軽セダン市場は縮小傾向にある。そのような状況下で、どういう軽セダンを作ればユーザーが支持してくれるのか……。ダイハツは「エッセ」の開発に先立ち、コンセプトメイキングを徹底的に行った。「そのなかで浮かび上がってきたキーワードが“本質”だったのです」(商品企画スタッフ)という。
軽セダンはこれまで、より高質に、より高性能にという方向に進化してきた。軽自動車各社のラインナップをみても、中間グレード以上はフル装備は当たり前で、質感の高いシート表皮、フルトリム化された内装など、“過剰性”の部分で競争が行われてきたのである。ハードウェア面でも、過給器付きエンジン、4輪ディスクブレーキなど、普通乗用車についているものは大抵用意されている。
本来、ベーシックカーであるはずの軽自動車にとって、この状況はある意味不健全である。
「そこで、軽自動車のセダンの“本質”をもう一度問い直してみようという機運が生まれたんです」(商品企画スタッフ)
ダイハツが軽セダンの“本質”として掲げたのは、Eco(エコノミー、エコロジー)、Simple&Smart(シンプル・スマート)、Easy(イージー)の3項目。経済的で環境に優しく、イージードライブができ、そして何よりシンプルであることを狙いとしているのだ。
が、シンプル=プアというのでは意味がない。「シンプルであることは素晴らしいことなのだとポジティブに受け止められるよう、さまざまなアイデアを盛り込みました」(商品企画スタッフ)
エッセには新型エンジンや高機能触媒など、さまざまな新技術が投入されている。それらはクルマを豪華に飾り立てるためのものではなく、魅力あるシンプルさを成立させるためのものだ。“本質”というエッセのコンセプトは一見、凡庸に見えるが、実は肥大化の一途をたどってきた軽セダンの世界のなかでは、革新的な側面を持っているのである。