3 | シェイクダウンは2月後半 |
一方で、すでに参戦に向けた準備をイギリスのリーフィールドで進めていたスーパーアグリF1。車体は、2002年に撤退したアロウズがその年に製作した「A23」をベースに改良して、2006年の開幕戦に間に合わせる苦肉の策で急場をしのぐことを決定(本命の2006年ニューマシンは、夏場前には完成すると言われている)。また、人事面でも元アロウズのダニエレ・アウデットをマネージングディレクターに置き、スタッフも着々とF1界の精鋭たちが集結していた。
さらに最大の関心事とも言えるドライバー起用については、佐藤琢磨の加入が、本人もその選択肢を認めるなどほぼエースドライバーとして内定していた。注目のセカンドドライバーにも井出有治や山本左近らの日本人ドライバーの名前が挙がってきた。いずれにしてもFIAの正式な参戦承認を得てからの話しであることは間違いないのだが……。
スーパーアグリF1の正式参加承認は、早ければ2005年のうちにと言われていたが何の発表もないままに年を越えた。ただし難航が予想された既存10チームの参加承認は12月下旬の時点ですべて同意をとりつけていた。ウイリアムズはスーパーアグリF1の資産状況をわざわざ訊ねてきたというし、ルノーは参戦準備状況の確認のためにリーフィールドのファクトリーまでわざわざ視察に来たという。
亜久里代表は2006年1月23日にモナコでマックス・モズレーFIA会長と会談し、やっとの想いで「参戦当確」のお墨付きを得ていた。そして2006年1月26日、FIAはスーパーアグリF1の参加に関する正式承認をリリースによって全世界に発表した。
バーレーンでの2006年F1開幕戦は3月12日決勝だが、2月中旬から遅くとも2月下旬までにはスーパーアグリF1の最初のマシン(前述のアロウズA23がベース)がシェイクダウンテストを行う予定でいる。
それまでにドライバー起用を含めた体制発表があるだろうか? これもあまりの急プロジェクトのために、開幕戦の場所が発表会場という噂もあるのだが……。いずれにしても、スーパーアグリF1とホンダとの関係、さらにFIAやFOM(F1マネージング団体)との問題など、事実の数々は次第に、それも少しづつ明らかになるだろう。今はとにかく、スーパーアグリF1にとって、最初のF1マシンを実際に走らせることが何よりも優先課題であることは間違いない。