死亡した胎児を人とみなす…交通事故では初の適用

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検察庁・静岡地検浜松支部は3月30日、正面衝突事故を起こして妊婦にケガを負わせ、胎児を死亡させたブラジル国籍を持つ30歳の男を業務上過失致死傷罪で起訴した。胎児は刑法上の人格権は無いが、緊急出産後に死亡したことから人とみなしている。

問題の事故は3月7日の午前10時30分ごろに発生している。静岡県袋井市川井付近の県道で、ブラジル国籍を持つ30歳の男が運転する乗用車が対向車線側に逸脱。29歳の女性が運転する軽自動車と正面衝突した。

女性は打撲などの軽傷を負ったが、腹部を打撲したことや、出産予定日を3日後に控えていたことから緊急出産を行い、事故から約3時間後に男児を出産した。だが、この男児は胎盤早期はく離などが原因で翌8日に死亡している。

事故は逸脱側のクルマを運転していた男の居眠り運転が原因とわかり、男は業務上過失傷害容疑で逮捕された。ただ、事故後に死亡した男児の扱いをどのようにするかの判断には困難を極めた。

刑法上で胎児は人とみなされず、死傷した場合にも責任を問うことはできないが、今回は緊急出産していることや、それ自体が母体負傷を原因としていることから「すでに出産したもの」とみなし、責任を問うことを決め、業務上過失致死傷罪の適用に踏み切った。

胎児を人とみなして致死罪を適用した例は交通事故にはない。類似ケースでは水俣病を扱った刑事訴訟において、メチル水銀を摂取した母親から生まれた子供の死亡は「水俣病に起因する」とみなした最高裁の判例があるという。

《石田真一》

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