【トヨタ リコール問題】トラブルは11件ではなく80件…県警調べ

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2004年10月にトヨタ自動車が『ハイラックスサーフ』の操舵機構=リレーロッドをリコール対象としたことから、熊本県警は「リコール隠しの疑いがある」として、事件を県警本部案件に格上げして内偵捜査に着手した。三菱『パジェロ』の事故を発端としたリコール隠しの捜査とは違い、専従捜査員をほとんど配置しない形で細々と始まった。

警察が最初に行ったのは「ハイラックスサーフのリレーロッドに絡むトラブルが実際には何件発生していたのか」ということに関する調査だった。事件を担当したある捜査員は「経年劣化が原因でリレーロッドが折損したのだとしても、約8年間に販売した33万台中11台は明らかに少なすぎる。これはおかしい、もっとあるはずだ」と直感したという。通常の乗用車ではなく、悪路を走行することもあるRVが対象となっており、荷重が掛かったシチュエーションでハンドルの据え切りを行うことは珍しくないと考えたからだ。

県警本部は警察庁を通じ、国土交通省にも捜査への協力を要請。ハイラックスサーフが輸出された世界全地域を対象に不具合発生の報告が何件あったのかを調べた。その結果、同車種の需要が高い中南米エリアでリレーロッドが折損するトラブルが1992年ごろから1995年ごろにかけての間に発生しており、これらを合わせた数字は国内の11件をプラスすると、なんと80件(国内28件、海外52件)にも達したという。

リコール対象となっていたのは1996年5月までに生産したクルマだが、以降の生産車ではリレーロッド自体が新しいものに改められていたこともわかった。また、捜査の過程で入手した資料により、リコール対象となった約33万台に装着されていた部品は、ハイラックスサーフのモデルチェンジが行われた1988年以前の(先代)モデルから大きな変更がないまま、流用(キャリーオーバー)されていたこともわかった。

1988年のモデルチェンジでは車両重量が増しており、前輪に掛かる荷重も95kg増えていた。こうした荷重増加に旧来の部品が耐え切れず、販売4年後の1992年ごろから金属疲労を発端に折損するトラブルが相次いだとみられる。

こうした“資料漁り”の捜査で約1年(2005年)を費やしたが、最終的に「トヨタ側がリレーロッド折損トラブルの続発を1996年時点で把握し、部品の構造変更に着手。荷重に耐えうるものに変えた可能性が高い」という結論に達した。菊池市で事故を起こしたクルマは1993年製造。製造後の約4-5年で折損寸前まで金属疲労が進むことは中南米の事故でトヨタ側が把握しており、1996年ごろから適切な改修を進めていれば2004年8月の事故発生は未然に防げた可能性が高いと判断された。

本格的な捜査は2006年に入ってから着手されるが、あくまでも水面下で進められた。これは三菱『パジェロ』事件の際、独自の捜査を推し進める熊本県警のスタンドプレーを批判する声が他の警察本部から聞こえていたことも影響していたとみられる。(つづく)

《石田真一》

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