「『ソニカ』を開発するにあたって、軽自動車だから、この程度でOKという妥協はまったくしませんでした。もちろん、サイズや排気量には制限がありますが、走りやデザイン、質感の面ではコンパクトカーにも負けていない自信があります」と語るのはソニカのチーフエンジニアを務めたダイハツ工業製品企画部の堀信介さん。
ソニカはハイトワゴンが主流となった軽自動車市場に突如として導入された、現在販売される軽自動車の4ドアではもっとも低い全高のクルマ。“カップルのための爽快ツアラー”という、今までの軽自動車にはなかったコンセプトを掲げ、大きさや価格競争が激化した軽自動車市場に一石を投じるニューカマーだ。それだけに走りのクオリティや、内外装の質感にはかつてないほどに気を使ったという。
堀さんは「ソニカのコンセプトやクルマ作りは、ひとつの挑戦でもありましたが、狙い通りのクルマを作ることができました。全高が低いので室内の高さはハイトワゴンに比べれば低いですが、室内幅は軽自動車で最大の数値をマークしていますし、ホイールベースは『タント』と同じ長さですので、室内長も広く取れています」という。
確かにソニカは室内の頭上空間にはそれほど余裕はないが、横方向と縦方向は広々としており窮屈な印象はない。そのうえ、インパネシフトや自発光式メーターを採用したインテリアは、非常に質感高くまとめられている。
さらにウインドウォッシャー液が霧状に噴射されたり、後席の分割可倒を軽自動車では珍しく6:4分割にしたりと、堀さんの妥協のないクルマ作りは随所に散りばめられている。通常、軽自動車では、こういった部分はコスト削減のために、真っ先にカットされてしまうのだが、堀さんのこだわりは、このような細かいところにも残されているのだ。(つづく)