バブルが弾けた90年代は、ユーザーのクルマ選びが大きく変わった時代である。ミニバンやSUVが台頭し、徐々にセダン離れが進んだ。95年5月、『カローラ』は8代目にバトンを託した。安全と環境への配慮を全面に打ち出しながら「社会との調和を目指すベストコンパクトカーの創造」が開発のテーマである。
カローラは軽量化によるコストダウンを徹底して行ない、安全性にも強いこだわりを見せた。エアバッグを標準装備し、マイナーチェンジでは時代の先端を行く衝突安全ボディの「GOA」を採用している。また、時代の流れを敏感に読み取り、リサイクルにも目を向けた。
社会との調和を目指した110系カローラは、スリム化に真摯に取り組み、セダンは50kg、「レビン」では70kgもの軽量化を実現している。バリエーションも絞り込んだ。『セレス』は1代限りで消滅したし、「カローラFX」も海外市場だけと割り切っている。スーパーチャージャーを装着した「レビンGT-Z」もカタログから落とされた。
110系カローラは、正統派の4ドアセダンと2ドアスポーツクーペのレビン、先代の100系ワゴンを手直ししたツーリングワゴンの“カロゴン”と、3つのボディ構成だ。
ガソリンエンジンは、すべてDOHCである。1.3/1.5/1.6リッターのDOHCエンジンを揃え、1.3リッターモデル以外はATを4速ATにグレードアップした。レビンは1.5/1.6リッターモデルがあり、「BZ-R」と「BZ-G」は5バルブのスポーツツインカムだ。レビンには冴えたハンドリングのスーパーストラット・サスペンション仕様が用意されている。レビンはFF車だが、セダンとワゴンには4WDモデルも設定した。
カローラはマイナーチェンジのたびに快適装備と安全装備を充実させている。97年4月、「4A-GE」型エンジンに可変バルブタイミング機構の「VVT-i」を採用した。これを機にBZ-Rとワゴンの「BZツーリング」に6速MTを設定する。
その3カ月前の97年1月に「カローラスパシオ」を送り込んだ。3列シート仕様が主役だが、2列シート仕様も設定した。エンジンは1.6/1.8リッターのDOHCを積む。