公正取引委員会は、10月18日、オートバイ販売業界で初めの排除命令を出した。概要は、距離メーターの巻き戻しである。二輪車、四輪車を問わず、中古市場では一部に距離メーターの改ざんをして、不当に販売価格をつり上げているのではないかという疑いが以前から持たれていたが、これまで二輪車販売で命令が出たことはない。
公取委排除命令第一号となったのは、大阪市浪速区の「株式会社アイビー」(平政茂社長)だった。同社は2006年7月20日、大阪市天王寺区にある「北大阪オートと「アトム」展示場において、合わせて32台の中古オートバイに距離メーターの改ざんや交換を行い、走行距離を過少に見せかけていた。
その手口は、走行距離数万kmのメーターの1万の桁をゼロにし、数千kmにみせかけるなどで、中古車雑誌誌上でも、メーター改ざんしたバイクを掲載していた。公取委は、この事実を仕入れ先だったオークション会社の出品表などからたどり、立証したものと思われる。
同社は、12月1日、公取委の命令に従って、毎日新聞、および産経新聞の関西版で、事実の公示を行った。現在、2か所の展示場は休業している。同社は、記者の取材に対して「社長は不在で、何もわからない」と回答している。
「公取委の排除命令は重く、経済的損失よりも、オークション会場からの閉め出しなど社会的損失のほうが大きい。二輪車販売業界は、不当表示を防止するために公正取引協議会を組織して正常化維持に努めているが、同社は協議会にも加盟していなかった」(不当表示に詳しい二輪販売関係者)
表示の信頼性は、今後も厳しく問われていく。