3 | オタク企画としてもGO |
ツアーは午後5時過ぎ、発駅であるシエナ駅に戻って終わった。ところでこの観光列車、『TDV』というらしい。なんのことはない。イタリア語で「ワイン列車」を示す『Treno del Vino』の頭文字だ。
フランスの新幹線『TGV』の向こうを張ったのか、それとも偶然の産物かは不明である。イタリア人一般人にも通じない。それでもスタッフは誇らしげに『TDV』と呼んでいる。
ふと思ったのはこの列車、ワインナリーめぐりだけでなく、「鉄道および乗り物オタク列車としても結構いけるんじゃないか?」ということである。こんなに運転士と「ふれあいタイム」のある企画は、まずない。鉄道ファン・乗り物ファンにも、おすすめだ。
がんばれ、TDV。
Treno del Vino
http://www.winestation.it/
ワイン列車の料金は75ユーロ。夏・秋の季節運行である。
筆者紹介:大矢アキオ Akio Lorenzo OYA --- コラムニスト。国立音楽大学卒。二玄社『SUPER CG』記者を経て、96年からシエナ在住。イタリアに対するユニークな視点と親しみやすい筆致に、老若男女犬猫問わずファンがいる。NHK『ラジオ深夜便』のレポーターをはじめ、ラジオ・テレビでも活躍中。主な著書に『カンティーナを巡る冒険旅行』『幸せのイタリア料理!』、訳書に『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(いずれも光人社)がある。新著に『Hotするイタリア』(二玄社)。 |