エンターテインメント機能の充実でハイエンドの存在感を
----:では、いっぽうのクラスヴィアの市場競争力はどこにあるとお考えですか。スムーナビのようなシンプルなAVNやさらにはPNDも出てきたりと、価格の差ほどに機能に差が付けにくくなってきていると思うのですが。
安 藤:クラスヴィアについては、先ほど申し上げたオーディオ機能に加えて、エンタテインメント機能を充実させています。具体的にはピクチャービューアです ね。また、自車位置表示やルートの品質といった“使い込んで初めてわかる”部分も常に進化させています。GPSだけでは絶対にこの精度は実現できません。
----:市場の反応はいかがでしょうか。
安藤:まだ数週間では市販市場の反応をつかむまでには至っていませんが、実はOEMモデルでクラスヴィアとほぼ同等の機能を持たせたナビを早い段階で出していまして、かなりの反響があります。
----:反響が大きかったのはどの機能ですか。
安藤:世界で初めて採用したDAEP(Dolby Automotive EntertainmentProgram)CinemaEditionですね。センタースピーカーのない4chスピーカー構成で仮想センターを定位させる機能です。さらに足元のスピーカーが聴覚上、上に持ち上がる効果もあります。前席だけでなく、後部座席でも仮想センタースピーカーが出現し、その恩恵が受けられることも特長です。スピーカーを替えなくても、ノーマルのスピーカー環境でじゅうぶん効果を実感できるというのもDAEPの特長です。
----:興味深い機能ですね。レスポンスの読者アンケートでは、若い人ほどカーナビの音にもこだわっているという結果が出ています。
安藤:ドルビー社がつくったDAEPのアルゴリズムコードを、DSP(Digital Sound Processor)のチップに組み合わせて商品化するところから行いました。どのメーカーもやっていないことですから、初めてのことばかりなんです。担当者は泣きながら納品の直前まで必至でコーディングしていましたよ(笑)。でも、自動車メーカーを初めとしていろいろな方々から喜んでもらったという話を聞いて、苦労した甲斐があったな、と感じています。
◆DAEP搭載のモチベーションは「常に何かあたらしい技術を取り入れたい」という気持ち
----:タイトなスケジュールのなかで、クラスヴィアにDAEPを搭載しようと思ったきっかけは。
安藤:カーナビもそうですが、カーオーディオの分野でも常に業界をリードしていたい、という思いはあります。常に何かあたらしい技術を取り入れたい。ドルビー社の担当も「08年モデルに出せるとは思わなかった」と言っていましたね。これまで、われわれはDVDオーディオのように原音をいかに忠実に再生するかを目指していたのですが、今回はテクノロジーを積極的に使って音を作り上げようという姿勢で開発しました。DAEPとは別にイコライジングを使わずに聴感上の低音を厚くするVIRTUAL BASSというテクノロジーも採用しました。
----:大きな変化ですね。
安藤:クラリオンが目指す音は変わりません。しかし今はソースからアンプの手前まですべてデジタルで処理する時代です。ソースが持つクオリティを損なうこと無く、車内の特殊な再生環境にフィットした音をつくることを目指しています。スピーカーのグレードアップや追加に回す予算をクラスヴィア購入費に充ててください。なんでもない純正スピーカーから信じられないような迫力の音が出てきます。
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