新型『C5』は旧型とエラい違い。製造品質や完成度がかなり上がったセダンにしてもワゴンにしても、どっちも業界の傑作だと思う。フランス流のデザインの華やかさと、上品なテイストの抜群な融合を高く評価したい。
やはり、アウディを見ても、このC5を見ても、自動車スタイリストが描いたというより、産業アーチストが新モダニズムを想像して描いたように見える。どこかに品を感じる。
しかし、これだけ国産車の味と違うと、ハンドリングや乗り心地にも違いが現れてもおかしくない。ステアリングの反応は過敏に思う時があるけれど、シトロエン独特の油圧のサス搭載のおかげで、乗り心地はフラットでゆるやか。結果として大きな安心感が感じられるクルマだと言える。
2ℓとV6のエンジン組み合わせにはバラツキがあるんだけど、より軽快なフィーリングの2.0リットルは気持ちいい。使い勝手から言えば、僕は手頃な2.0リットルのツアラー(ワゴン)をお勧めする。
ピーター・ライオン|モーター・ジャーナリスト
60年オーストラリア生まれ。西オーストラリア州大学政治学部卒。81年に同州の日本語弁論大会に優勝。83年に慶応大に留学。88年から、東京を拠点にするモータージャーナリスト。現在、米・英・独・伊・豪などの有力誌に新車情報や試乗記を寄稿。また、日本の自動車雑誌にも日本語で執筆中。日本COTY選考委員。ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー共同会長。愛車はジャガー『XJ8』。