【伊東大厚のトラフィック計量学】イモビライザの効果と普及

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【伊東大厚のトラフィック計量学】イモビライザの効果と普及
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イモビライザの盗難予防効果

イモビライザは、自動車盗難を予防する上で有効な装備だ。イモビライザが装着されていると、イグニッションキーから発信される暗号が車両側と一致しない限りエンジンは始動しない。盗難の多いEU諸国では標準装着が進んでおり、日本でも本格普及し始めた。

イモビライザの効果は、既にいくつかの車種で検証されている。搭載車と非搭載車の間には、盗難率(累計販売台数あたりの盗難件数)に明確な差があり、その予防効果は明らかだ(表1)。

また、『ランドクルーザー』の初期型イモビライザ搭載車にみられるように、暗号が解読され予防効果が低下する例もあるため、暗号化ロジックを複雑にするなど、イモビライザも改良されている。ランクルの初期型イモビライザを除くと、搭載車の盗難率は非搭載車の3分の1以下だ(表1)。

◆盗難被害が一部車種に集中

自動車の盗難は、特定のクルマに偏る傾向がある。損保協会の調査では、2000cc超の乗用車、RV、ミニバンなど、盗難の上位10車種だけで保険金支払い件数の半数を占める。車種数は乗用車で200近くもあるため、被害が一部“人気車”に集中していることがわかる。

盗難件数が現在の倍近くあった04年、年間の盗難台数が1000台を超えていたのは11車種あった。これらのクルマは盗難率も高い。中には1000台あたり10台近くも盗難されるクルマもあり、盗難率の高いクルマは全体平均の3 - 10倍も盗難リスクが高い(図1)。

盗難被害に遭いやすいクルマであっても、イモビライザは盗難率を3分の1以下に減ずることが期待できるため、早期の普及が望まれる。しかし、イモビライザが充分な性能を発揮するには装置の後付は困難であり、その普及は新車の販売台数に依存する。

◆上昇する新車装着率と認知度

ここ数年、イモビライザの普及は本格化してきた。ドライバーの認知度は年々向上し、乗用車を中心に普及も進んでいる。乗用車の新車装着率は、01年に僅か3%であったが06年には34%になった(図2)。

06年段階の装着台数の累計値は約500万台であり、乗用車の総保有台数に対する普及率は10%弱だ。しかし、盗難に遭いやすい車種に限れば、標準装備化も進んでいることから、普及率は5割前後に達しているのではないだろうか。

04年には盗難台数1000台超のクルマが11もあったが、06年はランドクルーザー、『ハイエース』、『クラウン』の3車種になり、盗難率もランドクルーザーが8.8から5.0に低下するなど改善傾向にある。盗難率低下の主因は、イモビライザの普及と考えてよいだろう。

《伊東大厚》

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