信越化学工業は、ヨーロッパでの塩ビ製造販売の関連会社CIRES社(ポルトガル)を完全子会社化すると発表した。
CIRES社は、1960年に、ポルトガルの現地法人と信越化学、三井物産の共同出資で、ポルトガルのエスタレージャに設立した。同社は塩化ビニル樹脂の製造とポルトガル・スペインといった南欧市場で販売を担ってきた。現在の生産能力は年産約20万t。
今回の完全子会社化の目的は、CIRES社を信越化学と一体化させることで、同社の事業運営のスピードアップを図り、欧州での塩ビ事業を拡大するのが狙い。今後、CIRES社は信越グループの100%子会社として、これまで培ってきた生産技術力・販売力の更なる向上を図り、収益力の強化を図る。
完全子会社化の手続きは、欧州の事業拠点のシンエツ・インターナショナル・ヨーロッパ(SEIE)を通じて進める。SEIEの現在の出資比率は26.07%。まず、SEIEはCIRESの株主の1社から株式を取得、出資比率を52.31%に引き上げる。
その後、ポルトガルの現地法に基づき、CIRES社の残りの全株式を対象に公開買付けを実施し、完全子会社化を目指す。公開買付け開始時期は2009年3月の見込み。
CIRES社全株式取得に必要な資金は、約1900万ユーロ(約22億円)となる予定。