ACEA(欧州自動車工業会)は14日、4月の欧州全域(EU+EFTA全28か国)の新車販売結果を公表した。総販売台数は125万1862台で、前年同月比は12.3%減。12か月連続の前年割れだが、スクラップインセンティブを導入したドイツは19.4%増と、4か月連続で前年実績を上回った。
欧州5大市場では、ドイツが相変わらず好調で、4月は37万9626台を販売し、前年同月比は19.4%増と4か月連続のプラス。これは1月から、9年以上保有している古い車を一定の基準を満たした低公害車に代替する際に、最大2500ユーロ(約33万円)を支給するスクラップインセンティブを開始した効果だ。1-4月累計でも18.4%増の124万7716台と、スクラップインセンティブがドイツの新車需要を喚起している。
5大市場で、ドイツ同様の補助金制度を導入しているのが、フランスとイタリア。フランスは前年同月比7.1%減の18万4475台、イタリアは7.5%減の18万8406台とマイナス幅をひと桁に抑えた。一方、インセンティブのない英国は24%減の13万3475台、スペインは45.6%減の6万7215台と大幅に落ち込んだ。
主要9社の販売実績は、1位のフォルクスワーゲングループ(アウディ、セアト、シュコダなどを含む)が、前年同月比4.2%減の28万4607台。VWブランドが0.2%減の15万3804台、シュコダブランドが0.4%増の4万6353台と、回復傾向が見て取れる。
2位のPSAプジョーシトロエンは、前年同月比14.7%減の15万6726台。3位のフォードグループ(ボルボを含む)は6.3%減の12万5033台。新型『フィエスタ』効果で、フォードブランド単体では、1.5%減の11万0002台と回復基調にある。
GMに代わって4位に浮上したのが、フィアットグループ(ランチアやアルファロメオを含む)。4月は12万1671台を販売し、前年同月比は4.7%増と唯一プラスのメーカーとなった。ブランド別では、フィアットが5.4%増の9万9918台、アルファロメオが5%増の1万0192台と、牽引役を果たした。
5位に後退したGMグループ(オペル、シボレー、サーブを含む)は、13.1%減の11万7921台と不振が続く。しかし、シボレーブランドは『マティス』や『アベオ』が好調で、4.5%増の1万6778台と回復した。
6位のルノーグループ(ダチアを含む)は、前年同月比14%減の11万0148台。ルノーブランドは23.7%減と落ち込んだが、ダチアブランドは60.4%増の2万3654台と驚異的な伸びを見せている。
7位のダイムラー(メルセデスベンツとスマート)は、26.3%減の6万0214台。8位のトヨタグループ(レクサスを含む)は、22.4%減の5万7774台。9位のBMWグループ(MINIを含む)は、31.2%減の5万5633台と不振が続く。
このほか、日本メーカーでは、日産が前年同月比21.8%減の2万3575台、スズキが8.7%減の2万1953台、ホンダが10%減の2万0834台、マツダが26.1%減の1万6478台、三菱が12.7%減の1万0268台と苦戦している。
韓国メーカーでは、ヒュンダイが2万7454台を販売し、前年同月比は9.7%増と3か月連続のプラス。キアも4%減の2万1499台とマイナス幅は少ない。また、ジャガー&ランドローバーは37.5%減の7094台にとどまった。
4月の欧州新車販売は、ドイツ以外でもスクラップインセンティブを導入するオーストリアが、前年同月比12.8%増とその効果を実証した。5月中旬からは英国でもスクラップインセンティブが開始されるため、新車販売への効果が期待される。