【COTY09-10 選考コメント】“走って楽しいエコカー”の方向性…萩原秀輝

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ホンダ インサイト(東京モーターショー09)
ホンダ インサイト(東京モーターショー09) 全 4 枚 拡大写真

『インサイト』に10点を配点した。その理由は、走りの楽しさをエンジンの存在感やハンドリングの軽快感によって分かりやすく表現していたからだ。いずれにしても、今年はエコカーが主役。その多くが、口をそろえたように「走りの楽しさも…」とアピールしている。

確かに、単なるエコカーなどはありえない。エコを突き詰めれば、自家用自動車による個人の移動の自由さえ否定することになりかねないと思うからだ。なら、クルマを所有する意義がどこにあるのだろうか。その前提を踏まえたとき、明らかになるのは「走りの楽しさも…」である。それをどう表現するのか、速さだけではないはずだ。その意味で、インサイトは楽しさの分からせ方が巧みだった。100%満足しているわけではなく多くの課題を残しているが、表現の方向性をホンダの企画開発陣はつかんでいるという実感があった。

次点は『プリウス』とした。プリウスは、走りを「楽しさ」ではなく「気持ちよさ」と表現している通り、なるほどそうなっている。ただ、もう一歩踏み込んで「楽しさ」を盛り込んでほしい。では「気持ちよさ」ではどうだったかというと、快適性の面では全体的な印象(2代目よりも上級移行している)に対する満足度に物足りなさを感じてしまった。特に、乗り心地の向上を期待したいところ。価格設定を考えれば納得できるものの、それはある意味で我慢を強いることにもなると思う。

残りの3枠は、VW『ゴルフ』、メルセデスベンツ『Eクラス』、ボルボ『XC60』に配点した。どのモデルも大いに魅力的であり、とくにXC60の買い得感の高さは注目に値する。Eクラスも、ブルーエフィシェンシーの試乗が間に合っていれば配点が大きく変わったかもしれない。また、誰もが認める高級サルーンカーであるEクラスと1.8リットルの直列4気筒ターボエンジンの組み合わせにどう折り合いをつけ市場にその価値を訴求するのか、じつに興味深いところでもある。いや、その役割は我々も担うべきなのかもしれないが……。

萩原秀輝|モータージャーナリスト
学生時代より自動車誌にてスタッフを経験、卒業と同時にレポーターになる。評
価にあたってはアラ探しをするのではなく「乗る人の利益を前提にそれがどう満
たされているかを見出す」ことを重視。また、確かな走行理論を基に各種の安全
運転教育の講師を務め、これまでの受講者は累計で10000人を越える。

《萩原秀輝》

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