昨年末に1リッター3気筒エンジンで登場した『iQ』に、待望の1.3リッター4気筒モデルが追加された。期待のエンジンはアイドリング時の振動もなく、もはや動力性能も含めて何の不満もない。1.3リッター車をもってiQは完成したと言っていいだろう。
◆「普通のクルマ」感はさらに強まった
昨年末に1リッター3気筒エンジンで登場したiQに、待望の1.3リッター4気筒モデルが追加された。期待のエンジンはアイドリング時の振動もなく、もはや動力性能も含めて何の不満もない。1.3リッター車をもってiQは完成したと言っていいだろう。
完成してしまったiQだが、それゆえ「普通のクルマ」感はさらに強まっている。不満はないが、面白みもまたない。相当テールハッピーな点が面白いと言えなくもないが、それは全車標準のS-VSCが完全に抑え込む。つまり衝突安全性なども含めて、小さいがゆえに難しいコンセプトを技術の力で見事ななまでに「普通のクルマ」に仕立て上げたのがiQだ。
◆世界が欲しているのは“より小さくて画期的に安いクルマ”
ただ、そんなすばらしいものをユーザーが欲しているのかどうかが難しいところ。つまり「こんなに良くなくてもいいから、もうちょっと安いほうがありがたい」なんて人のほうが、世界中で圧倒的に多いのではないか。結局今、世界の消費者が求めているのは「品質そこそこで安いもの」という、ユニクロの服みたいなクルマだと思う。iQはそういうクルマになる可能性があったが、実際には「良いものは高い」という売り方になっている。いっそ「レクサスiQ」として売り出していれば別の価値も出ただろうが。
日本車がもう一度国際競争力をつけるためには、より小さくて画期的に安いクルマがどうしても必要だと思う。iQのすばらしいパッケージングを利用して、そんなクルマが登場してほしいもの。エンジンは振動してもいいし、内装はチープでいい。快適な走りなど求めなくていい。ただしユニクロ的おしゃれさだけは必要。そして二ケタ万円で買えるクルマとすべきだろう。