【池原照雄の単眼複眼】「ハナ女子大」で動き出したトヨタのマーケティング新会社

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充実のコンテンツから伝わるヤル気

トヨタ自動車の新たなマーケティング体制が今年から本格始動している。宣伝など販売促進活動や顧客の要望を新車開発にフィードバックする機能を強化しようと、2つの新会社が発足した。

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新体制で国内の販促を手がける新モデル第1弾の『パッソ』は、リコール問題のあおりで発表会が中止となるなどアクシデントに見舞われた。だが、パッソPRの一環としてウェブ上で展開している仮想女子大(ハナ女子大学)はコンテンツも半端ではなく、オジサンが見ても面白い。新体制のヤル気が伝わってくる。

1月に発足したのは、国内のマーケティングを手掛ける「トヨタマーケティングジャパン」(TMJ)と、海外各地域のマーケティング活動支援する統括会社の「トヨタモーターセールス&マーケティング」(TMSM)の2社。後者のTMSMにはトヨタが全額出資し、さらにTMSMはTMJやトヨタ傘下の広告代理店だった「デルフィス」などの持ち株会社ともなって一体的に事業展開する。

◆「地域重視」の商品開発をサポート

新会社はトヨタの宣伝部や国内外の営業支援部門などが母体となった。豊田章男社長は、市場特性に見合った商品投入を推進する「地域重視」の方針を打ち出しており、マーケティング部門をあえて別会社とすることで、その機能を強化する狙いだ。

とくにTMJにとっては、市場の縮小が続いている国内での販売力や商品開発サポートの再強化が大きなタスクとなる。かつて、市場ニーズの吸い上げや斬新な販売プロモーションで、トヨタの躍進を支えた「トヨタ自動車販売」(1950年設立、82年にトヨタ自動車工業と合併し現トヨタ自動車)の部分的な復活ともなる。

旧トヨタ自販の凄さは、販売会社と一体になってのニーズ発掘を通じた「売れるクルマ」づくりへの貢献だった。しかし、トヨタ自販がなくなり、1990年代から海外市場のウェイトが高まるに連れ、そうした機能が弱体化したのは否めない。

◆国内市場活性化の重責担う

現状ではトヨタの国内販売比率は2割程度しかなく、開発部門にとっても日本市場は「ワン・オブ・ゼム」となった。90年代半ば以降、国内でトヨタが市場を創り出したといえるセグメントは、ハイブリッド車と『ヴィッツ』によるコンパクト分野ぐらいしかない。

各種ミニバンなど他社が切り開いたセグメントは、後追いでも価格競争力や強力な販売網でキャッチアップできた。発足したマーケティング新会社は、市場ニーズのフィードバックに特段の力を入れ、トヨタの開発部門へもヅケヅケとモノ申す方針という。

トヨタが市場を創り出すような商品を投入すれば、他社への大きな刺激になるし、何より国内市場を活気づかせることになろう。マーケティング新会社はそれほどの重責を担っている。

《池原照雄》

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