このクルマで、2WD車で10・15モード燃費15.2km/リットル、4WD車でも同15.0km/リットルを達成し、全車をエコカー減税&補助に適合させたというのは大変な努力だったと思う。
しかし運転すると、それをやったがゆえの影響だろうが、第一印象としては、低・中速域のトルクが薄く感じられるのは否めない。
それでもエンジン自体に力がないわけではなく、踏み込むと即座に加速重視のマッピングに移行するという、ひとつのモードの中に上手くエコモードとパワーモードを盛り込んだような設定となっているので、慣れればそれほど不満はないはずだ。
気に入ったのは、INVECS-IIIのスポーツモードだ。多少のショックを許しても、変速レスポンスの素早さを取ったという印象で、スポーツモードというのは本来こうあるべきだと感じた。他社ではショックを和らげるほうに注力したものが多く見受けられるが、せっかくシフトパドルを付けるからには、こういう味付けになっていてこそ初めて意味があるというものだ。
全体としては、運転しやすく、乗り心地もよく、日常の足としては至ってそつないクルマ。4WDを選んでおけば、いざというときも心強いだろう。
車両価格178万5000円という最廉価グレードの装備が現実的かどうかはさておき、これだけのクルマが実質200万円台前半 - 半ばで手に入るというのは、コストパフォーマンスとしてはけっこう高いと思う。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★★
岡本幸一郎|モータージャーナリスト
1968年富山県滑川市生まれ。学習院大学卒業後、生来のクルマ好きが高じて自動車メディアの世界へ。自動車情報ビデオマガジンの編集部員、自動車専門誌の記者を経てフリーランスに転身。「クルマ好きのプロ」として、ユーザー目線に立った視点と、幅広い守備範囲を自負する。近年は WEB媒体を中心に活動中。