SIMロック解除は広がるのか 携帯電話

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SIMカードはバッテリーの奥など、目立たないところに収納されている(撮影=中島みなみ)
SIMカードはバッテリーの奥など、目立たないところに収納されている(撮影=中島みなみ) 全 1 枚 拡大写真

2日夜、総務省は国内携帯通信事業者らを招き「携帯電話端末のSIMロック解除の在り方に関する公開ヒアリング」を実施した。

冒頭で挨拶した内藤正光副大臣は「これからワーキングチームを作って議論していくつもりはない。SIMロック解除の論点は尽きてると思う。2010年、政務三役として(このことに)判断を下さないといけない。そこで、メリット/デメリットつぶさにお話を聞き、最終的な判断をしていきたい」と、SIMロック解除を着地点とした方向性を明らかにした。

新聞は機種制限が撤廃されると報じたが、果たしてそう簡単に、SIMロック解除の自由が享受できるのか。

公開ヒアリングに参加したのは、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイル、イー・モバイルの国内携帯通信事業者4社とNVNO(仮想移動体通信事業者)の日本通信、それと通信機器メーカーの業界団体である情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)と消費者団体の東京都地域婦人団体連盟だ。

この中で積極的にSIMロック解除に賛成したのは、日本通信と東京都地域婦人団体連盟だけ。イーモバイルを除く携帯通信事業者3社とCIAJは、SIMロック解除に特に強い難色を示した。

ユーザーにとってSIMロックの解除は何をもたらすのか。内藤副大臣は一例として「携帯電話会社と端末が自由であれば、ナンバーポータビリティでキャリアを換えても、今までの端末が使える」という。

現行の国内携帯電話はSIMカードを差し込まないと使えないようになっている。SIMカードには利用者識別情報が書き込まれていて、携帯通信事業者はこのカードに使用制限(=ロック)をかけることで、他社携帯端末ではSIMカードを差し込んでも使えないようにしている。

端末販売店にリベートを出してゼロ円携帯を販売していた時代は、携帯通信事業者が端末だけを“タダ取り”されないためにSIMロックによる使用制限で、ユーザーに対していわゆる“縛り”をかけていた。

その販売方法が改められ、高額な価格の携帯端末をユーザーが分割で買うよう制度が変更されたことで、総務省はユーザー負担で携帯端末が販売されるようになった後のSIMロックによる使用制限は、公正競争の障害になると考えるようになった。このことは、固定電話を思い浮かべるとわかりやすい。NTTでもKDDIでも電話会社を乗り換えても電話機を買い替える必要はない。

だが、携帯通信ではそれほど簡単ではないと反論するのが携帯通信事業者だ。通信方式は全社統一ではなく、KDDI(au)は独自の通信方式を採用している。また、それぞれの事業者が、例えばi-modeなど独自のサービスを構築しているため、SIMロックを解除して、端末を自由に乗り換えられるようにしても、そもそも接続できないし、できたとしても音声で話すことと、ショートメール、カメラ、電話帳機能ぐらい使えないからユーザーにメリットはないと断言する。

「SIMロックはけしからんからやめなさいというのであれば、ゆゆしき問題」(ソフトバンクモバイル)

携帯端末事業者がこぞって反対する中で、欧米並みに携帯端末選択を自由をユーザーに提供するためには、単にSIMロックが解除されればよいというものではないのだ。

総務省は実際にSIMロックの解除を進める場合は、省令改正でなくガイドライン(指針)策定で対応する見込み。

《中島みなみ》

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