行政の無駄を自ら洗い出し、税金投入の効率性や効果の検証を行う行政事業レビュー「公開プロセス」が、5月26日から各府省で始まっている。警察庁も4日に実施する。
ただし、警察庁は行政レビューは実施するが、「公開プロセス」の対象外となっているため、“仕分け”の過程は非公開だ。
警察庁では中井洽国家公安委員長を責任者、実施担当者を米田壯(つよし)官房長にして、4月から実態把握と自己点検を始めた。レビュー結果を6月中にとりまとめ、レビューシートなども公開する予定だ。
同庁の実施計画では「国民の声」や職員から提案の募集を行い、合わせて行政事業レビューに関する意見や提案についても受け付けることになっている。6月中には何らかの形が示されるはずだ。
ただ、「公開プロセス」を実施する府省では、すでにレビューシートがホームページなどに掲載され、その過程を報道や一般に公開している。そのため担当する各府省が行政事業レビューをどういう方向性でレビューを行っているか理解しやすいが、警察庁では「結果を事後、速やかに公表する」(同庁広報室)ため、現状では警察庁がどういう視点で行政の効率化を図ろうとしているか不明だ。
行政事業レビューを各府省に指示したのは行政刷新会議。総理を議長とし、枝野幸男行政刷新担当相が副議長だ。警察庁を行政事業レビュー「公開プロセス」の対象から外したことについて同事務局はこういう。
「公開プロセスの対象は、昨年11月に『事業仕分け』の対象となった事業を関係する1府11省だけ。警察庁のほかにも金融庁、消費庁、公正取引委員会は対象になっていません」(事務局担当者)
だが、昨年は対象外でも、今年5月の事業仕分けでは警察庁が所管する「全国交通安全協会」が仕分け対象になっている。
行政刷新会議は「事業の実態とともに、要求段階から予算編成過程を国民に開示することにより(中略)、政治に対する国民の信頼を高める」と、行政事業レビューの考え方を解説する。その効果を求めるならば、なぜ最初から全府省を対象にせず、抜け穴を作ったのか。