PNDを書棚に並べて販売…書店とメーカー双方の思惑は

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地図・ガイドブックコーナーに置かれるXROADのPND
地図・ガイドブックコーナーに置かれるXROADのPND 全 5 枚 拡大写真

ポータブルナビ(PND)メーカーにナビゲーションアプリを提供しているキャンバスマップルは、同社のアプリを採用したPNDを神田神保町の三省堂書店で販売している。PNDといえば、カー用品店や家電量販店、あるいは通販といった販路が一般的だが、なぜ書店での販売に踏み切ったのか。その狙いは。

◆紙媒体のブランド力をPNDに展開

キャンバスマップルは、『マップル』ブランドで紙地図やガイドブックを発行している昭文社の子会社だ。『MAPPLEnavi』(マップルナビ)の名称でトライウインやXROADなどにナビゲーションアプリを提供しており、観光地やグルメガイド情報を中心とした豊富で多彩なPOIコンテンツを特徴としている。

紙地図やガイドブックなどで書店との強いつながりを持つマップルのブランド力を別のカタチで活かせないか、という狙いが昭文社/キャンバスマップルそして三省堂書店双方にあった。三省堂書店神保町本店営業本部の岸本憲幸氏は「長年取引させていただいる昭文社さんから、マップルガイドの情報を収録したPNDを扱えないかという打診があった。当店としても、デジタルガジェットを販売した実績があるので、マップルガイドのイメージを強く打ち出せるカーナビであれば販売も期待できるのではと考えた」。

◆書店で4万円のラジオサーバーが3000台売れた

三省堂にとって、書籍とガジェットとの連携販売はこれが初めてというわけでない。同営業本部の池田眞紀子氏は、「ラジオ語学講座のテキストに広告が載っているラジオサーバーは、4万円近い高額商品だが、当店で3000台以上を売り上げた。お客様の嗜好や関心と合致していれば、売れる可能性は十分にあることが証明された」と説明する。

出版不況と言われるなかで、書店にとって書籍“以外”の商材は重要な収入源として期待されているのだ。

MAPPLEnaviを採用しているXROAD社のPND『RM-C3530』と『RM-6030』の2モデルを2009年の11月よりテスト的に説明員をつけてデモ販売したところ、数台の販売実績を上げることができたという。販売を通じて、「なぜPNDを書店で売るのか、というお客様への説明が必要。MAPPLEnaviという昭文社のガイドブック情報を収録したナビゲーションであることを理解していただく必要がある。認知だけでなく商品理解まで踏み込んだ説明ができるスタッフが欠かせない」と岸本氏は語る。

◆認知が進めばヒットの可能性はある

デモ販売には、キャンバスマップルのマーケティング部部長の苅谷育弘氏が自ら立ちあって説明をおこなったという。とは言っても説明スタッフを常駐させておくだけの人件費の捻出はなかなか難しいところだ。「たしかに店舗スタッフが商品説明することは必要だが、お客様が“マップルガイドが収録されているPND”に興味を持って来店してたいだくことが一番の理想」(苅谷氏)と、ラジオサーバー同様“指名買い”を期待する。

「デモ販売で実績ができたので、年明けから常設販売に切り替えていただいたが、単にPNDを置いておくだけでは販売に結びつけるのは難しい」(苅谷氏)と語るように、説明商品ゆえの課題も依然として残されている。

現在は地図・ガイドブック売り場の一等地にPNDの販売コーナーが設けられており、書店側の力の入れようが伺える。さらに三省堂での購入特典として、店頭販売品には別売りのACアダプタを無償で付けたり、三省堂ポイントを加算するなど、販促施策も積極的だ。

「価格競争では家電量販店に太刀打ちできない。PNDメーカーのほうで値が崩れないような工夫をしていただきたい」と岸本氏。池田氏も「神保町店はリピーターが多く、認知が進んで商品の魅力が伝われば売れる。また、PNDとともに紙地図やガイドブックの売り上げのプラスにもなるような組み方があれば理想」と語る。

書店向けオリジナルモデルの投入や、一層のマップルブランドの訴求、映像などを活用したデモンストレーションなど、まだまだ取り組む余地もあるように思える。新たなマーケットを見いだすため、異業種連携の模索はまだ続きそうだ。

《北島友和》

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