クレハは15日、リチウムイオン電池用負極材「カーボトロンP」が、米国電池メーカーエナデルの電気自動車(EV)のリチウムイオン電池用負極材として採用されたと発表した。
クレハは今後、EVやプラグインハイブリッドカー(PHEV)向けにリチウムイオン電池の需要の増加が見込まれるため、いわき事業所の製造設備を増強し、2012年1月までに現在の年産600tから2.7倍の1600tに引き上げる。
クレハは、エナデルにカーボトロンPを供給するため、米国に、クレハ、エナデル、伊藤忠商事の3社合弁でプラントを新設することでも合意した。2013年からの操業を目指す。
カーボトロンPは、石油ピッチが原料で、クレハは活性炭製造技術をベースに1991年に事業化した。充放電特性と耐久性が高いことから産業用大型リチウムイオン電池に使用されてきた。現在は、車載用リチウムイオン電池の負極材として有望視されている。
クレハは、エナデルのEV用リチウムイオン電池の負極材として供給するとともに、今回のEV用途への採用を機に、EVやPHEV向けの負極材の採用を目指す。
エナデルは、リチウムイオン電池メーカーで、ノルウェーのTHINKやスウェーデンのボルボに電池システムの供給が決まっているほか、中国の万向集団とEV向け電池システムの合弁での生産・開発でも合意している。