JR東日本、駅員と車掌31人を不正乗車で処分

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JR東日本(清野智社長)の駅員と車掌合わせて31人が関与した不正乗車について、深澤祐二常務取締役は用意したプレスリリースを読み上げた。

「お客さまをはじめ、関係の皆様にご迷惑をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げます。当社では、今回の事態を厳粛に受けとめ、社員に対する指導・教育を徹底し、再発防止に取り組んでまいります」

不正は駅内部に立ち入ることのできる社員でしかできない方法だった。勤務先であるJR東日本の端末を使って不正操作されたものだが、被害の大半は、JR東日本以外の鉄道会社にもたらされたものだった。

東京臨海高速鉄道、小田急、東京メトロ、JR東海、東武、東葉高速鉄道、横浜高速鉄道が被害に遭っている。

職務乗車証についているSuica(スイカ)機能(IC乗車券)を使った不正乗降はこうだ。

他社線の入口で、初乗り料金で改札を通過する。出口は勤務先となるJR東日本の区間。そこでは改札口を通らず事務室へ直行し、窓口精算機で入場情報を取消して課金を免れるのだ。

同社が貸与する職務乗車証は、JR東日本の路線は無料なのに、それでも足りなかったらしい。

磁気式定期券を使った不正は、もっと悪質だ。事前に通勤定期券の不正乗車防止システムを、勤務先の端末を使って解除した。定期券区間外の駅から乗るときは、初乗り乗車券を購入して入場し、定期券の区間内で出る時には通勤定期を使うのだ。

一般利用者の場合は、入場記録がないと自動改札機のゲートが閉まるが、不正乗車防止システムが解除されているので、自動改札機を通過しても不正乗車にはならない。

不正乗車防止システムは一度解除すると、定期券有効期間中は解除されたままであることを悪用したケースだった。

こうした手口で不正乗車を繰り返し、社員31人、不正金額31万5130円が発覚した。不正乗車による被害額は最高8万300円。最も多い社員で、279回の不正行為を繰り返していた。その期間は07年5月から10年6月の直近まで続いていたという。

社員31人については、懲戒解雇(9人)、諭旨解雇(1人)、出勤停止(3人)、減給など(18人)の処分。

また、管理監督責任を問われ、原口宰取締役営業本部長が、報酬月額の10%、1か月の減給。ほか支社営業部長ら11人が処分された。

調査は、不自然な入場情報の取消しが行われてるIC乗車券の処理データの調査に加え、他の鉄道会社を乗り継ぎ磁気式定期券で通勤する社員6000人を対象にして実施された。

JR東海113人不正乗車などの報道を受け、調べてみたら自社でもという事態に、深澤祐二常務取締役は「今年度中に解除記録を残せるようシステム回収を行い、定期的に調査し、再発防止に努める」と話した。

《中島みなみ》

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