【日産 マーチ 試乗】ホノボノ系を卒業した意味…千葉匠

試乗記 国産車
 
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タイから「輸入」された新型の日産『マーチ』。生産拠点が日本からタイに移ったこと以上に大きな変化があることを、ボクはそのデザインに感じる。

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初代は巨匠ジウジアーロにデザインを依頼した。社内デザインとなった2代目はガラリとイメージチェンジし、欧州流モダンデザインから軸足をハズしたホノボノ系スタイル。それが欧州で認められて、3代目はさらにクルマ臭さのないキッチュなデザインへと進化した。過去3代を振り返って、「日本の日産がヨーロッパで胸を張る」というところに、マーチのデザインの歩みがあったと思う。

ところが4代目=新型マーチは違う。ベルトラインをウエッジさせ、4つのタイヤをしっかり踏ん張らせて、スポーティなスタンス。楕円のヘッドランプやアーチ型のキャビンに先代の面影を残すとはいえ、もはやホノボノ系ではない。

今にして思えば2代目と3代目のデザインは、「若者のクルマ離れ」が始まっていた日本でその風潮を逆手にとり、クルマ臭いカッコよさとは違うホノボノ系でヨーロッパに勝負したものだった。そんな「マーチらしさ」が新型では希薄になった。

新型マーチはタイの他、インド、中国、メキシコで生産し、世界160か国で販売するグローバルカー。かつての日本がそうであったように、アジアや南米の新興国市場では欧州車への憧れが強い。欧州の最先端よりむしろ、「ヨーロピアンの典型」が望まれる。

新型がそこにミートしているのは疑いない。見て、乗って思うのは、「ヨーロッパで胸を張る」という気負いが消えて、世界160か国の人々が求めるデザインと性能を作り込んできたということ。ヨーロッパから世界へ。マーチが目指すところは先代までとは大きく違うのである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

千葉匠│デザインジャーナリスト
1954年東京生まれ。千葉大学で工業デザインを専攻。商用車メーカーのデザイナー、カーデザイン専門誌の編集部を経て88年からフリーランスのデザイン ジャーナリスト。COTY選考委員、Auto Color Award 審査委員長、東海大学非常勤講師、AJAJ理事。

《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは審査委員長を務めた。

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