【COTY 選考コメント】プレマシーに日本の物作りの原点を見た…桂伸一

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プレマシー
プレマシー 全 6 枚 拡大写真

「目立ってたね!」とか「逃げたな!?」と、開票後に会うヒトからそんなことばを投げかけられた。60名の選考委員のなかで唯一、マツダ『プレマシー』に「10点」を与えたからに違いない。もちろん目立ちたがりでもないし、奇をてらってもいない。

「万人に向けてお勧めできるクルマ」。それが個人的にイヤーカーを選ぶ基準である。その意味でプレマシーが(いやマツダが)掲げる“統一感”に共鳴した。

統一感とはナニか? クルマは加速して、旋回して、止まる。走りの基本の要素に対して、アクセルやブレーキ、ステアリング操作するヒトの感性と、実際のクルマの動きがいかに自然で忠実で流れるように決まるか、その全体の操縦性や乗り味をクルマとして全体的にまとめあげたことを統一感と呼ぶ。

アクセルを踏むと必要以上に飛び出し、わずかな操作でも予想以上に鋭い反応を示し曲がり過ぎ、直進性が疎かになるステア特性。ブレーキはペダルの踏み込む量や踏力以上に効き過ぎ止まり過ぎて、強弱のコントロールが自然に行えない。……というのが程度の差はあれ、国産車の常である。

ところが“統一感”を打ち出したプレマシーは違った。ドライバーの手足のように、アクセルやブレーキ操作、ステア操作に自然に反応し、クルマの前後左右(加減速と旋回)の動きが滑らかに変化して乗りやすく操縦しやすい。背の高いミニバンでありながら不安定な動きを感じないのは、操作に対してクルマの反応がリニアだから。16インチタイヤ装着モデルが特に優れ、17インチは操作に対して過敏な部分もあるが……。

クルマを評価するうえで重視しているのが、まさにそこ。欧州車が優れているのもそこで、ヒトが操ることに対してクルマ側が出しゃばらず、いかに自然に忠実に応じてくれるのか、である。ひとつのモノをコツコツと熟成させる。日本の物作りとはそういうことの積み重ねであり、プレマシーにはマツダの技術者たちの造り込みの妙技を感じた。「10点」を与えたプレマシーの“統一感”を試乗で感じて頂ければ幸いです。

ちなみに、「5点」は『CR-Z』と『ポロ』に。CR-Zはスタイリングとスポーツカー風な走りを評価したが「万人に向けて」ではない。ポロは当初10点候補だったが、やはり日本メーカーから、という“本音”が先にたちプレマシーに。ジャガー『XJ』に「3点」を与えたのは、日本車ではどう逆立ちしても出せない雰囲気や質感、乗り味の滑らかさと正確な操縦性を評価して。「2点」は、ややメルセデス風な乗り味に変化した点が興味深いBMW『5シリーズ』に与えた。

桂伸一|モータージャーナリスト/レーシングドライバー
1982年より自動車雑誌編集部にてリポーター活動を開始。幼年期からの憧れだったレース活動を編集部時代に始め、「乗れて」「書ける」はもちろんのこと、読者の目線で見た誰にでもわかりやすいレポートを心掛けている。レーシングドライバーとしての戦績は、アストンマーティン・ワークスからニュルブルクリンク24時間レースに参戦。08年クラス優勝、09年クラス2位。今年は…!? レース直前にスポンサー絡みのドライバーに割り込まれて不参加。世知辛い世の中であります。

《桂伸一》

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