SKYACTIVの挑戦---マツダが見る青空

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内燃機関の進化と電動デバイス
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●ノッキングの原因は排ガス

まず注目すべきは次世代直噴ガソリンのSKYACTIV-Gだろう。東京モーターショーでも話題となった、超低燃費を実現する高圧縮比を実現したカラクリは、意外なところにあった。

圧縮比を高めていくと、ガソリンエンジンでも点火する前に燃焼が始まってしまう、ノッキングが起こる。ノッキングとは、ピストンが圧縮し切る、つまり上死点に到達する前に燃焼が始まってしまう現象だから、ピストンの動きを邪魔することになる。しかも燃焼速度は速いので、ノッキングが酷いとエンジンは壊れることになるのだ。

マツダの人見光夫パワートレイン開発本部長によれば、燃焼室に残留している排ガスによって混合気の温度が上昇していることがノッキングの原因の一つだと突き止めたと言う。そこで4-2-1のエキゾーストマニホールドを採用することで排気干渉を抑えて、掃気効果による残留ガスの削減によって圧縮上死点での混合気温度を下げることが出来たそうだ。

これによって、従来の考えではノッキングを避けるために燃焼効率を犠牲にして低下していたノッキング限界トルクの壁をブチ破り、高圧縮比下でもノッキングを抑えて燃焼効率を追求できたことから、発生トルクを引き上げることに成功したのだ。

また圧縮比を高くして燃焼室を小さくすることは、薄く平べったい燃焼室にしていくことになるから、燃焼の火炎伝播には悪影響を及ぼして、理想的な火炎成長ができないという問題もあったと言う。

それを解決したのがピストン中央に開けた窪みだ。キャビティと呼ばれるこの部分が副燃焼室的な役割となって、初期の火炎成長を改善させたのである。また、このキャビティは逃げとなって初期の火炎の熱をピストンに伝えてしまうのを抑えるから、冷却損失の低減にも貢献しているらしい。

高圧縮を低エミッションで実現するために、冷間始動時は点火時期を遅らせて燃焼温度を上げてEXマニの先にある触媒を早く暖めたり、エンジン内部の慴動抵抗、オイルや水のポンプの抵抗による損失も低減するなど、周辺技術についても抜かりはない。

そして、この先のステップでは、このエンジンを発展させたリーンバーン(希薄燃焼)へと向かう計画だ。さらにその先の第3世代では断熱化を進めるというから、エンジンはいよいよ金属製ではなくなっていくのかも知れない。

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《高根英幸》

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