SKYACTIVの挑戦---マツダが見る青空

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内燃機関の進化と電動デバイス
内燃機関の進化と電動デバイス 全 16 枚 拡大写真
●見た目には普通のAT

そしてATとMT、2種類用意されたトランスミッションもまた、実にユニークで斬新なアイデアが盛り込まれている。

ATについては、プレスリリースではCVTやDCT、多段ATの利点を集約させた、とされていたから、果たしてどんな構造のATなのか(見た目には普通の横置きATに見えるのだが)想像がつかない部分もあって、説明会に期待していた。果たして、その正体は普通のATのメカニズム、しかし各機構の活用ぶりがこれまでとはレベルが異なる

各種類のATの利点を集約、というのは、それぞれのメカニズムのいいトコ取りをするという意味ではなく、それぞれの優れた特性を盛り込むということだった。

ポイントは、構造としては6段ATながら、ロックアップクラッチの容量を増やしてDCTに近い働きをするトランスミッションに仕立てていることだろう。走行中のロックアップ状態を見る限りでは、発進して10km/hを超えた時点でもうロックアップされている。JC08モードの走行では従来の5速ATがロックアップ率49%なのに対し、実に82%もロックアップされている状態なのだという。

小容量化されたトルクコンバーターは、発進時のスムーズさを容易に実現するための半クラッチ用といった印象だ。つまりこれはメルセデスAMGが7Gトロニックをベースに開発したスピードシフトMCTと同様のATベースのセミATで、スムーズに走らせるためには複雑な多板クラッチの制御をトルコンを併用することで低コストに実現させようというのだろう。

MTモードではダイレクト感ある素早いシフトを実現しているというから、燃費とスポーツドライビングの楽しさを両立している、という点でも期待できそうだ。

MTについても、6速MTを従来比で大幅な小型軽量化を達成させた、その方法もユニークだ。
従来の常時噛み合い式のMTは、各ギアとシャフトの回転を固定or解除することで変速を行なっている。そのため、各段ごとに噛み合う一対のギアがそれぞれ用意するのが常識だ。
ところがマツダの新型MTは、2速と3速のインプットシャフト側ギアを1つで済ませることによって、全長を圧縮しているのである。

そもそも6速MTは、理想的なステップ比を実現するために変速比を追求して、各ギアのペアとも理想の組み合わせとするのが常識となっている。これは、そんな発想を根底からひっくり返すような、レイアウトだ。実際には、この構造を採用できるのは3軸式のMTだけだから、ガソリン用の2軸式MTでは従来の構造だろう。

SKYACTIVシャーシではサスペンション性能やボディ剛性を高めながら軽量化も進める技術が紹介された。ボディに関してはメンバーを連続した形状にして効率化させたり、高張力鋼板の採用率を高めるという、正統派の技術進化だった。サスペンションに関してもマルチリンクのジオメトリーの見直しなど、欧州の高級車ではすでに実践されている技術だが、これを日本の量産車に導入するのは、ある意味画期的なことだ。
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《高根英幸》

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