【新聞ウォッチ】足踏み状態で迎えた2011年…トヨタ駅伝初V、プリウスPHV 箱根完走、バイク王偽装発覚

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気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

★2011年新春スペシャル版

景気回復の道筋が不透明のままで迎えた2011年。皆さんは新しい年の元旦をどのように過ごされたでしょうか。

日本列島は大晦日から元日にかけて上空に寒気が流れ込んで、あいにく東北や西日本では記録的な大雪に見舞われた。中でも山陰地方では、日本海沿いを走る国道で車約1000台が立ち往生。JR山陰線などの特急列車も途中停車したまま動けなくなるなど、車内で年を越すという気の毒な帰省客らもいたそうだ。

一方で、元日に全国実業団駅伝が行われた群馬地方や2日と3日に箱根大学駅伝の大舞台となった東京や神奈川周辺では晴天に恵まれて風も弱く、いつになく穏やかな新年を迎えることができた。

もっとも、駅伝のほうは、穏やかなレース展開というわけにはいかなかったようだ。実業団駅伝ではフィニッシュまでの残り600m。終始集団を引っ張った日清食品グループを振り切り、スパートしたトヨタ自動車が猛追する富士通をかわして初優勝を成し遂げた。その差はわずか1秒。新聞各紙にも「1秒差でトヨタ、出場32回目 初の頂点」(3日=毎日)などと、1秒差を強調する記事がスポーツ面を飾った。箱根駅伝も「早稲田一丸 接戦で力、東洋無念 21秒届かず、あと100メートル、V3の夢消えた」(4日=読売)などと壮絶なレース展開をドラマチックに伝えた。

今回、箱根駅伝の運営管理車がホンダからトヨタにバトンタッチしたことも興味深かった。「車両接触、観客3人軽傷」(3日=読売)と往路5区では沿道の観客と接触する事故を起こしたものの、大きなアクシデントには至らなかったことは不幸中の幸いだ。

それよりも、テレビ観戦していると、力走するランナーとともに画面から一時も消えることなく走り続けていた『プリウス・プラグインハイブリッド』に目を奪われがちになってしまった。本格デビュー前のデモストレーションとしての宣伝効果は抜群だった。

駅伝の話題はともかく、年末年始の紙面から気になる自動車関連のニュースを拾い読みしてみよう。新年最初の元日の各紙は、広告企画など別刷りの特集を含めてボリュームたっぷりだが、総ページ数では読売が108ページと最も多く、朝日の104ページ、日経の100ページを超えた。産経は80ページ、毎日が76ページ、東京は66ページだった。

各紙の1面トップ記事のテーマはバラバラで、読売が「警視庁公安資料、流出2日前告知メール」とのタイトルで国際テロ対策に関する内部資料流失問題を取り上げたが、いずれも驚くような特ダネではなかった。自動車関連では、年末に各社が共同インタビューした日産自動車のカルロス・ゴーン社長の記事を朝日と日経が1日付で掲載。「1ドル=80円台でも国内事業が競争力を発揮できるようにする」などと述べている。同様のインタビュー記事を読売は4日朝刊、東京は5日朝刊でもそれぞれ取り上げた。

元日の広告では、日立グループが掲載した見開き2ページのカラー全面広告が際立った。自動車メーカーではトヨタが「あなたの描く夢に、私たちの描く未来を、重ね合わせたい。」というコピーでプリウスなどのエコカーを紹介したカラー全面広告を掲載。日産も「未来は、もう、売っている」と、ブルカラーの全面広告で100%電気自動車「ゼロ・エミッション」をアピールした。これまで元旦の紙面を飾っていたホンダは5日までの広告掲載はなく、箱根駅伝の車両提供とともに、広告掲載も控えたとみられる。

再び、自動車関連のニュースに目を向けると、「トヨタ版『セグウェイ』実用化、来年にも市販」(29日=東京)、「トヨタ・富士重が共同開発、新『ハチロク』来年末発売」(同)、「米EV、日本充電器採用、走行実験、国際標準へ一歩」(29日=読売)、「ホンダ、新スポーツ車開発、HVかターボエンジン有力」(1日=朝日)、「スズキ、『軽』エンジン刷新、16年ぶり、燃費2割改善」(3日=日経)、「プリウス歴代首位に、年間新車販売、昨年31.5万台、カローラ抜く」(4日=各紙)などと報じられたが、兎年にふさわしいような飛び跳ねる記事はなかった。ただ、変わりダネは、朝日が3日付で「バイク王、価格競争装う、買い取り比較サイトで」と疑わしい内情を1面準トップでスクープ。翌4日朝刊でも各紙が追随した。

恒例の経営者による「2011年景気・株価見通し」を読売と日経が3日付で同時掲載。自動車業界から日経はスズキの鈴木会長兼社長が回答。今年の重点政策課題として「FTA、TPPなどを推進し輸出産業の国際競争力強化。次の時代に飛躍できる国内産業の育成」が求められると答えている。

読売は自動車業界で鈴木会長と日産の志賀俊之COOが回答者だったが、対ドル円相場を鈴木会長は80~85円と予測。また、日経平均株価を9000~1万1000円と回答したが、志賀COOは、今回も為替と株価は「回答を差し控えます」。ちなみに、登場した経営トップ30人の中で無回答は志賀COO 1人だけだった。

その志賀COOは日本自動車工業会の会長を務めているが、きょう5日午後4時から東京のホテル・オークラ「平安の間」では自動車工業団体の新春賀詞交歓会が開催される。急激な円高や国内新車販売が低迷する中で、新年のあいさつでどんな抱負を述べるのか興味津々である。

《福田俊之》

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