群馬大学のマイクロEV、高い汎用性で市販化めざす

エコカー EV
桐生市での実証実験で使用されたマイクロEV「μ-TT2(マイクロティティーツー)」
桐生市での実証実験で使用されたマイクロEV「μ-TT2(マイクロティティーツー)」 全 3 枚 拡大写真

群馬県桐生市で1月22日から2月13日にかけて実施された国土交通省「平成22年度 環境対応車を活用したまちづくりに関する実証実験」では、群馬大学次世代EV研究会の開発したマイクロEV「μ-TT2(マイクロティティーツー)」が使用された。

μ-TT2は第一種原動機付四輪自転車(ミニカー)規格に準じた1人乗車のマイクロEV。スチールのフレームにFRPボディをまとう。ドアは右側だけにある。

走行性能は定格出力0.6kW(最高出力4kW)、最高速度時速55km、登坂性能10度、航続距離約30km。バッテリーは約1.6kWhのリチウムポリマー電池。満充電には家庭用100V電源で約3時間。車両重量295kg。ブレーキは4輪ディスクで、タイヤは軽自動車サイズ(135/80R13)を採用する。

その特徴は高い汎用性を持つ「ミニライトEVシステム」にある。前後それぞれにサブフレームを設定し、フロント・サブフレームに操舵機能とサスペンション、リア・サブフレームに駆動機能とサスペンションを一体化しているのだ。

フロントのユニットは、ダブルウィッシュボーンにラック&ピニオン方式の操舵系、そしてアクセル&ブレーキペダルを一体化。リアも同じくダブルウィッシュボーンで、左右の後輪にひとつずつに定格0.3kW(最大出力2kW)のDCブラシレスモーターが組み込まれる。つまりサスペンション一体式のインホイールモーターとなっているのだ。ホイール自体をモーターとするのではなく、2段減速のギアを通じてホイールの外にモーターが備わるのが個性的だ。

この「ミニライトEVシステム」をEVのベーシックなユニットとしてボディを自由自在に作ることができるのも、このシステムの特徴だ。

開発を担当した群馬大学次世代EV研究会のメンバーには、富士重工業(スバル)で自動車開発を担当していたOBが数多く含まれている。そのため、本格普及のためにインフラの研究も必要ということで、非接触充電方法(磁気共鳴方式)の研究も並行して行う。μ-TT2はプロトタイプではあるが、量産能力を備えた企業とのパートナーシップも見据えて、市販への道程を模索中だ。

《鈴木ケンイチ》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. トヨタ『ハリアー』6年ぶりのフルモデルチェンジへ…注目ニュースベスト5 2025年上期
  2. マッスルカー『チャージャー』、内燃エンジン仕様が登場…直6ツインターボで550馬力
  3. エアレスタイヤ搭載でペダルもなし、免許不要の特定小型原付「Future smart」発売
  4. 日産の高級部門インフィニティ、3台の新型コンセプトカーを世界初公開へ…モントレーカーウィーク2025
  5. ホンダ『レブル250 Eクラッチ』が爆売れ!? ペダルだけでシフトチェンジできる「Eクラッチ」の魅力をおさらい
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る