首都高速の橋本圭一郎会長兼社長は27日の会見で「国内での技術コンサルティング事業を今後、一段と拡大する」と、述べた。高速道路の新設や改築、維持管理などの主力事業に加え、関連事業での収益向上を図る。
足がかりとするのは、コンクリート橋(PC構造物)や鉄橋(鋼構造物)の点検、診断、維持補修分野での受注だ。
2005年の民営化以降、同社は橋梁の点検、検査を中心に約40件の受注実績がある。最近では、グループ会社の首都高速道路技術センターが名古屋高速道路公社から「鋼橋工事溶接部工場検査業務委託」を受注した。
「橋梁点検検査の分野では国内、世界で最高水準」と、橋本氏は自社グループの技術に自信を見せるとともに、さらにその技術の汎用化や低廉化で、需要の取り込みを図る。新たに簡易型の弾音検査システムや橋梁点検専用のカメラを開発した。
同社がシェア拡大を狙う市場は大きい。国内の全橋梁数の約40%、全トンネルの20%は1955年から73年の高度成長期に建設された。多くが更新期を迎えているが、そのための十分な予算は確保できていない。補修などによる延命が必要だ。
6月7日には湾岸線高架下で点検・補修のデモンストレーション、21日には首都高速道路技術センター主催、同社が後援する講演会「橋梁の維持管理 今何をなすべきか!」が開催される。
これらは地方自治体向けで技術勉強会や点検デモを実施し、関係する地方公共自治体を超えて新たな接点を見いだそうとしている。
さらに、一級建築士事務所としての登録も行い、ビルオーナー向けの建物耐震診断業務にも乗り出した。1都3県で展開する。
「緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を促進する条例」が4月から施行され、東京都はビルオーナーに対して耐震診断を義務化した。耐震性能の低い建物と評価されても耐震化は努力目標だが、その進捗状況が公開される。
さらに東日本大地震により、耐震への関心がますます高まっている。