アウディが醸し出す雰囲気は女ゴコロをくすぐるとかねてから書いてきたけれど、コンパクトなこのサイズになっても、そういうところはまったく失わないのにはまいった。
「価格をここまで高くできれば、うちだって」。そう国産メーカーの声が聞こえてきそうだけれど、「でも、できないじゃん」が私の答えた。そうだ、できないだろう。この品格。この乗り心地。そしてこの価格でも買いたいと思わせる存在感。
アウディらしさを継承するフロントグリル。のびやかさと軽さを演出するシルバーのサイドアーチ。このシルバーの発色が派手すぎず落ち着きがあって、なんともたまらない。運転席の質感は心地よく、広さも十分である。後部座席の天井は小学生の身長でやっとという低さだけれど、一人のフットワークを確保できれば文句はないし、ゆえに四人乗りと言われたところでこのクルマへの憧憬は揺るがない。
1.4リットルエンジンは、ターボとDSGとの組み合わせで軽快そのもの。ついでにアイドリングストップまでついていて、エコに敏感な奥様族の好奇心を十分に満たしてくれる。なにより、ボディ剛性というかサスペンションというか、この乗り心地のよさったら、コンパクトカーにもこんなしっとりとした世界があったのねと、新しいステージが切り開かれたような嬉しさに満たされる。
アウディに甘い私。いえ、甘いんじゃなくって、それだけアウディってば女子の気持ちをくすぐるブランドなのですよ。この路線、ぜひ今後もつらぬいていただきたい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/エッセイスト
女性誌や一般誌を中心に活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に精力的に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。JAF理事。チャイルドシート指導員。国土交通省 安全基準検討会検討員他、委員を兼任。