大矢アキオの『ヴェローチェ!』…ナンニーニ、市長戦グランプリで勝てず

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シエナ市内に貼られたナンニーニ候補のポスター
シエナ市内に貼られたナンニーニ候補のポスター 全 6 枚 拡大写真

任期満了に伴うイタリア中部シエナ市長選挙の投票が2011年5月15日と16日に行なわれた。即日開票の結果、元F1ドライバーで菓子会社社長のアレッサンドロ・ナンニーニ候補(51歳)は次点で落選した。

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今回の市長選挙にはいずれも新人の5名が立候補した。有権者4万4704名の75%にあたる3万3766名が投票した。投票は16日月曜日の15時に締め切られた。

市内の投票所50か所のうち15か所の開票が終了した20時前に大勢が判明。中道左派・左派政党が推薦したフランコ・チェックッツィ候補が53.72%を獲得して当選確実となった。中道右派政党などが推薦したナンニーニ候補は19.34%で次点に留まった。

ナンニーニ候補は実家の菓子会社や自ら興した焙煎コーヒー会社の社長を務める傍らで立候補を表明。選挙を機会に自ら結成した地域政党「愛するシエナ」のほか、ベルルスコーニ伊首相が党首を務める政党「自由の国民」など計4政党の推薦を得て出馬していた。

「シエナへの情熱」をスローガンに、市財政の再建と行政の迅速化、医療サービスの透明性確保、起業家の援助、観光振興のためのマーケティング手法導入を公約に掲げた。交通関係では、市民病院の駐車場に関して「病院駐車場が有料なのはイタリア国内でシエナのみ。恥ずべき政策」として即時無料化を約束した。さらにここ数年シエナ市民を賛否で二分している民間空港整備については、賛成の立場を表明した。

ちなみにイタリアの市長選挙では、選挙カーによる巡回や街頭演説は行なわれない。アルバイトによる戸別チラシ配布が、最も一般的な公約を知る手段である。

投票前、ナンニーニ候補と高校で同級生だったという男性は、「なかなか面白い選挙。成り行きを興味深く見守ることにする」と筆者に語っていた。いっぽう、同時に行なわれた市議会議員選挙に長女が中道右派政党から立候補していた60歳代男性は、「シエナは伝統的な左派地盤。たとえナンニーニといえども苦戦するのではないか」と慎重な意見を述べていた。

結果としては、後者の予想どおりとなった。背景には左派地盤とともに、ベルルスコーニ連立内閣にも参加している「北部同盟」の推薦獲得がなかなか得られず、支援体制構築が遅れたこともあろう。加えて、F1引退からすでに21年が経過し、彼のドライバー時代を知らない有権者層が増えてきたこともあったに違いない。

蛇足ながら個人的には、もしナンニーニが市長になったら、どんな公用車に乗るのか、いや自分で運転したらもっと面白そうだ、などと空想を膨らませていたのだが。

大矢アキオの欧州通信『ヴェローチェ!』
筆者:大矢アキオ(Akio Lorenzo OYA)---コラムニスト。国立音楽大学卒。二玄社『SUPER CG』記者を経て、96年からシエナ在住。イタリアに対するユニークな視点と親しみやすい筆致に、老若男女犬猫問わずファンがいる。NHK『ラジオ深夜便』のレポーターをはじめ、ラジオ・テレビでも活躍中。主な著書に『カンティーナを巡る冒険旅行』、『幸せのイタリア料理!』(以上光人社)、『Hotするイタリア』(二玄社)、訳書に『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)がある。

《大矢アキオ Akio Lorenzo OYA》

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