気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2011年8月3日付
●東芝「携帯」撤退見通し、富士通に合弁会社株売却(読売・1面)
●トヨタ2年ぶり営業赤字、4〜6月1079億円、通期予想は上方修正(読売・1面)
●居座り2か月外交停滞、首相、訪米メド立たず、TPP「北」問題放置(読売・3面)
●トヨタ復旧急ピッチ、業績予想上方修正、急激な円高足かせに(読売・8面)
●家の電気車から、停電時の電池機能に関心、日産EV送電システム開発(朝日・7面)
●車大手増産インドの陣、フォードとトヨタは倍増めざす(朝日・8面)
●高速道38路線無料化で赤字、10年度、全路線では黒字(東京・3面)
●タイ国民和解いばら道、初の女性首相誕生へ、経済政策、国境問題、新政権に難題山積(東京・10面)
●大手商社6社、4〜6月期、資源高で収益伸ばす(日経・9面)
●富士重、経常益52%減益4〜6月期(日経・11面)
●小田急電鉄、きょうからドラえもん電車出発(日経・31面)
ひとくちコメント
四半期の決算発表とはいえ、やはり各紙のトヨタ自動車の取り上げ方は別格である。読売、毎日、産経、日経が1面に掲載したほか、関連記事を経済面などでも大きく取り上げている。見出しは「営業赤字1079億円」(毎日)と「通期上方修正」(産経)に二分されるが、日経は、上方修正の上に「大幅」と強調している。
トヨタの2011年4〜6月期連結決算は、売上高が前年同期比29%減の3兆4410億円。本業のもうけを示す営業損益は1079億円の赤字(前年同期は2116億円の黒字)。純利益も前年同期比99%減のわずか11億円だった。一方で、震災後の生産体制が想定よりも早く復旧したため、12年3月期の業績予想は上方修正した。
一言で説明すれば、前半の赤字を秋以降、わずか半年間で挽回するというシナリオだ。国民栄誉賞のなでしこジャパンが米国との決勝戦で耐えて耐えて耐え抜いてPK戦で世界一になったようなことを想定しているようだ。
各紙は「トヨタ復旧急ピッチ」(読売)としながらも「円高に危機感」(毎日)と懸念材料を指摘。その手強い競争相手が、韓国・ヒュンダイやVWなどの欧州勢という。決算会見で伊地知隆彦・取締役専務役員は「韓国の労務費を比較すると日本が倍。2万ドルの新車の場合、15円の円高で1台当たりの粗利益が30万円吹き飛ぶ計算」と述べ、主戦場の北米などでは「お手上げ状態」と嘆く。
きょうの各紙をみると、せっかちな媒体は、1年先の2012年の世界生産台数を掲載しているが、東京と日経は暦年で「890台」に対し、朝日は年度で「880万台」としている。海外生産比率は「11年度計画よりやや高まり、6割を超える」(朝日)としているが、為替の動向によっては、海外比率がさらに高まる可能性もある。