【インディジャパン・佐藤琢磨インタビュー】被災した子ども達に夢を…With You Japan

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佐藤琢磨選手のマシンには、被災した子ども達を支援する活動「With You Japan」のロゴが掲げられている。
佐藤琢磨選手のマシンには、被災した子ども達を支援する活動「With You Japan」のロゴが掲げられている。 全 12 枚 拡大写真

ツインリンクもてぎで9月16〜18日に開催される「2011 IZOD インディカーシリーズ第15戦 インディジャパン ザ ファイナル」。参戦する佐藤琢磨選手は、東日本大震災での被災者や子ども達に向け、レースを通じたサポート活動として「With You Japan」を立ち上げた。佐藤選手に、その活動の目的、日本への思いを語ってもらった。

----:東日本大震災の直後に琢磨選手が立ち上げた「With You Japan」の活動について、経緯や取り組んでいく上での気持ちなどをお聞かせください。

佐藤琢磨選手(以下、佐藤):大震災のことを知った時、世界中のだれもが自分にできるなにかをしたい、サポートしたいという気持ちになったと思います。僕もそのひとりです。みんなと同じ気持ちでした。

震災が起きた時は、移動日でヨーロッパからアメリカへ向かう飛行機の中。直後にシーズン直前のオープンテストが行われる時でした。その時に何かできないかと考えて、すぐに「Pray for Japan」というメッセージをクルマのサイドポンツーンにつけて、サポートの意思表明をしました。それが最初の第一歩でした。そこから開幕戦まで2週間ほどあったのですが、その間に「With You Japan」としてキャンペーンを始めました。

復興の過程で、様々なたくさんのサポートが必要になると思いますが、僕自身がアメリカのシリーズで戦っている意味やポイントを見出し、アメリカからどんなサポートが出来るかを考えました。そして、子供たちのサポートに集中しようと考えました。なぜならば、自分自身がレースを始めたきっかけは10歳の時に鈴鹿で初めて日本GPを見て、衝撃を受けて、夢を持ったから。その後すぐにレースをすることは出来なかったけど、10年後に鈴鹿のスクールを経てレーシングドライバーの道を歩み始めたわけです。そのきっかけとなったその一瞬を僕は忘れることができないのです。

レース、そしてインディカーというものはすごくエキサイティングで、このエネルギーを、なんとか子供たちのこれからの笑顔や、希望、夢のきっかけづくりにしてあげたい。そういうところでエモーショナルなサポートが出来ればなと思って作ったのが「With You Japan」です。

----:具体的にはどのような活動をおこなっていくのでしょうか。

ドライバー全員、リーグ全体が賛同してくれています。まず最初に、ドライバー全員が手と手を取り合って一緒にサポートしようということで、全員がレーシンググローブを提供してくれました。その後もスコット・ディクソンやライアン・ハンターレイなどのトップドライバー達がヘルメットやレーシングスーツを提供してくれて、今それをチャリティーオークションに掛ける準備をしているところです。もてぎに向けて準備が整うと思うので、そこで得た義援金をサポートに充てる計画です。

もうひとつ「Children Mending Hearts」という子供たちのサポートをしているカリフォルニアのNPO団体とタッグを組んでチャリティーTシャツをいくつかのレースで販売。こちらの売り上げも100%義援金に充てます。

そして、もうひとつ大切なことがあります。子供たちをサポートするにあたり、もちろん寄付や義援金はとても貴重ですが、でもそれだけじゃない。どうやって気持ちの上でサポートをするかということです。これはやっぱり子供同士のコミュニケーションが凄く大事だと思うんです。

ブラジル・サンパウロから始まってアメリカ国内の小学校をいくつか回って来ましたが、そこで日本の状況を子供たちに伝えると、子供たちは皆、地球の反対側の会ったことも無い友達のことを、涙を浮かべて想ってくれる。その想いを僕が橋渡しをして届けたいのです。

心温まるメッセージや心をこめて作ってくれたアートワークなどを持って被災地を訪れ、子供たちにそれを届ける、そこで友情が生まれる。最初は英語でのコミュニケーションが出来なくても、子供同士が持つコミュニケーション能力って凄いですからね。また、それが英語を勉強してみようというきっかけになるかもしれない、5年後10年後になるかもしれないけれど、そんなことが出来ればいいなと思って、このキャンペーンを続けているんです。

先日、「With You Japan」最初のイベントとして、南相馬の子供たちをもてぎに一日招待しました。原発事故の影響で、外で思いっきり遊べない子供たちを一日青空の下で思いっきり遊ばせてあげたい...そういう企画でした。全国から2000人を超える子供が来てくれて、招待した子供たちも本当に楽しい一日を過ごしてくれました。子供たちの笑顔が見ることができたて、僕も本当に嬉しかった。

今度のレース(インディジャパン)にも被災地の子供たちを招待したいです。地道な作業になるかもしれないけれど、一度の寄付で終わるのではなく、出来るだけ長く震災で被害を受けた子供たちをサポートして行きたいと思っています。

----:原発事故の話が出ましたが、ヨーロッパのGPライダーの一部には来日への心配があるようですが、インディのドライバー達はどうですか?

佐藤:もちろん多少は心配の声はありました、御家族からの心配の声も上がっていましたが、最近もてぎが出したデータや、モトGPの要請を受けて第三者が入って検査をした結果を見て、全員が安全だと言う事が確認できました。今インディカーシリーズとして、もてぎへの心配は無いと思います。チームやドライバーも「With You Japan」のステッカーを張ってくれたり、日本をサポートしたいという気持ちがとても大きく、彼らももてぎで良いレースをして日本の人たちを元気付けたいと考えているように思います。

----:最後にインディジャパンを見てくれるファンに一言。

佐藤:今年はインディジャパン最後のレースになりますが、ロードということもあるし、チャンピオンシップ争いもかなり熾烈な状況です。僕自身はまだここまで思い描いたようなベストなリザルトは残せていないのだけど、ポテンシャルとしては去年よりもずっと上げてきているので、皆さんの前で最高の走りを見せたいと思っています。それを沢山の人に応援して貰いたいです。最後最後ってあまり言いたくないですけど、是非もてぎのコースに来て応援して貰いたいです。

■2011 IZOD インディカーシリーズ第15戦 インディジャパン ザ ファイナル
・9月16日:フレンドシップデイ、練習走行
・9月17日:公式予選、前夜祭
・9月18日:決勝
・9月19日:アフターインディジャパンデイ

前売チケットのオンライン販売受付は9月10日・24時00分まで。ツインリンクもてぎのオンラインショップ「モビリティ・ステーション」で購入可能。

インディジャパン ザ ファイナル 公式サイトURL
http://www.twinring.jp/indyjapan/

《ケニー中嶋》

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