[大人の夏休み]震災を越えて走る…スタートは8耐優勝の伊藤選手

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AIOC東日本復興祈願145
AIOC東日本復興祈願145 全 7 枚 拡大写真

ゼッケン130は、東日本大震災の発生からレース当日が130日目だったから。急造チームだけにまともにスタッフすら集める時間もなかったから、チーム監督はドライバー兼務で自称「僕」。

午前8時のスタートに向けて最小限の準備を済ませた後に、関東在住の岡本と相談して戦略とスティント順を決める。

スタートドライバーは先日の「コカコーラ・ゼロ鈴鹿8時間耐久ロードレース」で見事に優勝を飾った伊藤真一に託すことにした。僕らは全国規模で展開されているアルファロメオのホビーレースを通じて知り合った仲間だが、伊藤は東北で外車ショップを営んでいて、それなりに付き合いは古い。

しかし、伊藤は地元の宮城県が壊滅的な被害を受けたその日からトレーニングそっちのけで救援活動を行って多忙を極めており、果たして本番の8耐前に僕らの遊びに付き合ってくれるのか心配だった。早朝のもてぎに笑顔で現れてくれたときは正直ほっとした。

スタート前に伊藤を含む全ドライバーに告げた戦略は「全ラップ、予選アタック!」。アルファロメオをイタ車のイメージでしか知らない人には冗談のように聞こえるかもしれないが、僕の経験上、アルファロメオ『145』はそれが決して不可能なクルマではない。世界を相手に走った元GPライダーであり現在もスーパー耐久などの4輪公式戦にも出場している伊藤は、25番グリッドからスタートしていった。

ローリングが解除された直後、タイミングモニターを凝視していて驚いた。Sタイヤではなくスポーツラジアルタイヤを履く、僕らの145が総合3位を走行しているではないか! しかも一時的ではあったが全体のファステストラップも記録。ポルシェや並み居る国産車を差し置いての快走である。さすが世界の伊藤真一である。冷えたタイヤのスタート直後の瞬間だからこそ、145をそのポジションまで引き上げられたのだろう。

ところが好事魔多し……。レース開始から30分少々で、「AIOC東日本復興祈願145」にオレンジボール旗が提示された。車両に何らかの重大な問題が生じているのでピットに入って修復せよというオフィシャルからの指示だ。ピットに滑り込んできた車両の左ドアとサイドステップが大きく破損していた。他車と接触があったようだ。ピットで応急処置を施して伊藤をコースへと戻したが、順位は50位前後まで後退していた(文中敬称略)。

《編集部》

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