気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2012年1月19日付
●新車販売500万台超予測12年震災反動とエコカー補助(読売・8面)
●軽自動車「米車と競合せず」自工会・志賀会長(読売・8面)
●北米対決、現代・品質・デザイン向上、シェア着々、トヨタ・大震災で劣勢「今年こそ復活」(朝日・11面)
●タイヤの神様、名門フェラーリーへ、元ブリヂストンの浜島さん再びF1最前線(朝日・22面)
●レアアース不要の;EVモーター公開、「オートモーティブ」展(産経・10面)
●「日系企業、事業継続を」タイ首相、災害時の政府権限強化(日経・6面)
●VWグループ、電動車両、10車種以上投入、EVなど15年まで(日経・9面)
●ディーゼルエンジン10万基、スズキ、フィアットから、インドで調達(日経・10面)
●韓国製品2割採用、日産車体、新型商用車で(日経・10面)
ひとくちコメント
2012年の軽自動車含む国内新車需要は前年比19.1%増の501万6000台となる予測値が公表された。日本自動車工業会(自工会)が今年の新車需要見通しを発表したもので、リーマン・ショック前の水準である500万台を4年ぶりに超えると予想している。
きょうの各紙にも「4年ぶり500万台超」(朝日)などと、景気回復を裏付けるような明るい見出しが経済面を賑わせている。自工会の需要見通しは、例年は年末に発表することになっていたが、12年の見通しは、政府が自動車関連の税制改正や補正予算でエコカー補助金を復活させる方針を打ち出したため先送りしてきた。このため、年が明けて1月半ばの発表となっただけに、机上での単なる願望だけの期待値ではなく、各メーカーの予測台数を積み上げた実現性のある見通しだとも受け止められる。
自工会によると、「500万台超」の根拠は「東日本大震災による供給不足の解消や復興需要に加え、昨年末に復活したエコカー補助金で80万台以上の上乗せ効果を見込む」(日経)ことらしい。
ただ、冷ややかな目でみている専門家もいる。産経は第一生命経済研究所の柵山順子副主任エコノミストのコメントを掲載。「リーマン・ショック後のように買い控えなどで先送りされている需要が少なく、前回の支援策から間もない」と指摘。「11年は通常の市場環境に戻っていたと考えられ、補助金の効果は楽観的すぎる」と懐疑的な見方を示している。
さらに、各紙の論調では「日本市場の活性化にかける業界の期待は大きいが、補助金などの政策頼みの回復見通しであることは否めない」(朝日)などと、チクリと刺す記事もみられる。確かに、補助金効果への期待は大きいようだが、若者層を中心に国の「補助金行政」のあり方に批判的な意見があることも事実。足元ではトヨタ労組が3年連続で賃金改善を見送る方針を打ち出すなど、ユーザーの財布のヒモは固くなるばかりだ。「500万台超」が絵に描いた“クルマ”でなければいいが……。