【レクサスGS開発ストーリー】竹のステアリングは日本でしかできない

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レクサスGS
レクサスGS 全 2 枚 拡大写真

レクサスから新たに登場した2代目『GS』のインテリアは竹を利用したステアリングなどを採用し、日本のプレミアムブランドをアピールする。

デザイン本部デザイン開発部カラーデザイン室の北村陽一朗さんは、その作成方法について、「実際に丸太の竹を切って、集積して曲げているのです。無垢材を削り出し、1本1本積層させて、作業者が11本重ねてぐっと曲げて削り出すのです」。その触感が非常にナチュラルで新鮮な感じだという。「一部機械だが、基本は手で仕上げます。手で磨いて、手で塗装」するという、まさにクラフトマンシップなのだ。

「高知県のミロクというライフルや猟銃を作っている会社が作業しています。銃身やグリップなどに巻くのが本無垢で、そういった技術を持っているのです」。それをクルマのハンドルに応用したのだ。「竹を10本くらいの枠に切って、それをさらに1本1本細かく切ったうえで、11本重ね合わせるのです。この工程に時間がかかります。トヨタの生産方式とは真っ向から逆行している作り方ですね」と笑う。

その竹は数年で成長するので実はエコだともいう。「通常の木が数十年掛かって成長するのに対し、2~3年で製品化できるうえ、竹はどこでも世界中で取れますから」。

北村さんは、「これを作ることが出来る職人も限られ、かつ、それを作る機械やさらに細かい行程は秘密です。竹は、ヨーロッパではモダンな扱いをされますし、東洋、アジアの植物なので、BMWの竹炭のようなものを使ったオーナメントなどを見ると悔しいですね。こういったものなので我々がやるべきなのです」と今回のトライに満足げだ。

様々な手間暇をかけたインテリアについて北村さんは、「付加価値に繋がっていると思います。ぜひユーザーに薀蓄を語ってもらいたいですね」とした。なお常務役員レクサス本部本部長の伊勢清貴さんによると、今後この竹を使ったステアリングなどは他のレクサス車にも順次採用されるという。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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