職務質問中の事故で「管轄違い」の異例判決

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ワゴン車に同乗中の知人に対して任意同行を求めた警官の手をスライドドアで挟み、重傷を負わせたとして、重過失傷害罪に問われた29歳の男に対する判決公判が2月27日、大阪地裁で開かれた。裁判所は「管轄違い」という異例の判決を言い渡している。

問題の事件は2011年4月10日に発生している。大阪府大阪市平野区内で、ワゴン車の後部座席に同乗していた人物に対し、大阪府警の警官が任意同行を求めたところ、29歳の男がこれを妨害。スライドドアを閉めようとした際、警官の左手が挟みこまれる状態となった。

警官は左中指を骨折するなどの重傷を負っており、検察側は「警官が手をドアに掛けていることを認識しながら、被告は故意に閉めた」として、重過失傷害罪で起訴。これまでの公判で弁護側は「被告にはその認識が無かった」として無罪を主張していた。

2月27日に開かれた判決公判で、大阪地裁の木山暢郎裁判官は「負傷した警官がクルマに手を掛けていたかどうかが証明できず、警官の供述についても、被告の供述より信用性があるともいえない」と指摘した。

その上で裁判官は「被告側に軽い過失があったことは認められるが、重過失とするには合理的な疑いが残る」とも指摘。「被告の罪は過失傷害に留まると考えられるが、過失傷害罪は簡裁の管轄である」として、検察側が求めた懲役1年を退け、管轄違いの判決を言い渡した。

「管轄違い」は被告に対しての量刑判断にはあたらず、検察側は重過失傷害の成立を求めて高裁に控訴するか、あるいは過失傷害罪で改めて簡裁で起訴するかの判断を迫られることになる。

裁判所法では、法定刑に罰金と科料しかない罪に関しては「簡裁が審理する」と規定されているが、事務手続き上の判決が出るのは極めて異例だという。

《石田真一》

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