「群馬県と愛知県の約500kmをお互いの車や、(他社の)参考になる車を運転して、毎週末交代でどちらかの会社に集まって“いい車”について語り合う、チームミーテングを実施してきた」。
トヨタ自動車と富士重工業が共同開発したFRスポーツカー、トヨタ『86』とスバル『BRZ』の量産開始を祝うラインオフ式が16日、富士重工の群馬製作所本工場(群馬県太田市)で開かれたが、トヨタの豊田章男社長は挨拶の中で両社のエンジニア魂がひしひしと伝わってくるようなエピソードを披露した。
両社は2005年10月に資本・業務提携を結び、08年からFRスポーツカーの共同開発をスタート。約4年間の開発期間を経て、本格量産開始に至った。こうした地道な努力を重ねることで「目指すべき方向性が共有できてからは、開発のスピードが一気に加速した」(豊田社長)という。
文化の違う企業が新車などを共同開発するには、とかく困難な壁にぶつかるケースも少なくない。「86/BRZ」は、トヨタと富士重工のお互いの経営資源の活用と技術面の融合をはかった「努力の結晶」として、アライアンスの成果に一石を投じたことにもなる。