【ホンダ N BOX 発売】ステップバンを蘇らせて

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ホンダ・N BOX
ホンダ・N BOX 全 6 枚 拡大写真

ホンダの軽Nシリーズ第1弾として登場した『N BOX』は、4月から3か月連続で、車名別届出車ナンバー1を獲得。ホンダが軽自動車でナンバー1を獲得するのは、実に8年ぶりである。

本田技術研究所デザイン開発室1スタジオ主任研究員の濵野剛男さんによると、もともとの出発点は『ステップバン』だとする。「軽自動車枠の中で最大空間を創るという、空間価値のクルマの元祖だと思っています」と話す。そして、「実は特にホンダのデザインの中で、改めてこれを出したいという気持ちがすごく強かったのです」とし、「何度も何度もこれまでスタディをやってきました」と話す。

濵野さんは1998年に出た『ライフ』のデザインを担当していた。「あのクルマも出すときに、本当はステップバンという名前をつけようかと考えました。しかし、あの当時『トゥデイ』のプラットフォームを使っていましたので限界があり、これはステップバンではない、これはライフだと判断しました」。そして、「ステップバンは来る日に、我々が持っている理想を追求できるプラットフォームが出来たときに初めて使いたいと考えていました」と振り返った。

そして、「“N”のデザインを始めるにあたって、若いデザイナーを全員集めて、茂木のホンダコレクションホールへ見学に行きました。若い人たちは(ステップバンを)知らないので、なんですかこれ?こんなクルマがあったのか、とみんな感動していました」という。

ステップバンはあまり世の中に出回らなかった。当時このコンセプトは早すぎたのだ。「このコンセプトが理解されるのはスズキ『ワゴンR』を待つまで、残念ながら日本では理解されませんでした。ですので、我々としてはワゴンRを見たとき、本当に悔しかった。とても素晴らしいデザインだとは思うのですが、我々としては忸怩たる思いがありました」。そこで、「自分たちがやるのであれば、(ワゴンRを)超えるクルマを作らなければということで、そのためにこれだけの長い時間がかかってしまったのです」と語った。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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